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チュ チュ(歌詞)


真っ白なチュチュの
ふわりと軽いチュチュの
濡れもしなければ
乾きもしないチュチュの
スカートが膨らむ。

湿った風が
泣きながら走り去る頃に
七月の雨が残したまどろみは
あの娘の香水に似た
月夜の香りとなる。

追いかけて
追いつけず
叫んだ早朝の白く染まった路地
「珈琲一杯で最後にしよう」
振り向かない あの娘

夜に咲くチュチュの
陰影を巻くチュチュの
忘れもせずに
じっと見つめるチュチュの
スカートが萎れる。

狡い指と指
絡まった先 実る憂鬱
抜け殻の朝は十年後も咲き誇る
あの娘が逃げ出していった
光の檻のこっち。

見失い
立ち止まり
崩れる真夜中の雨に泣いた通り
珈琲はとっくに冷めてしまった
もう二度と戻れない
あの娘と
いた日々
チュチュと
その影と
熱い肌
夜のざわめき
からかう光
白む空も
夢が
夢に
嘘が
嘘に
なった。

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