素直がイチバンだよね

「興味がないことへのリアクションが露骨に薄いよね」ってよく言われるもんだから、たまにリアクションを頑張ってみることがあるんですけど、別に演技でするリアクションがうまいわけじゃないからお互いに違和感しか残らないんですよね。(興味があることにはリアクション大きい方です。)

あまり親しくない知り合いの子供の写真とか見せられて「めっちゃかわいくない!?」って聞れたときに。僕は「あー」って言うんですよね。なんで「あー」って言うかというと「あー」以外の感情がないから。まじでかわいいときは「カワイイ〜!」と言います。

逆にすごいおいしいもの食べたときも「おいしいー!」って言えません。「ウマ」くらいは言います。結構便利に使ってるのが「いままで食べた物の中で一番おいしい」って言うやつ。「美味しいものが更新されたぞ!ニューレコード!」って意味を込めてるんだけど、これはガチでウソだと思われています。でも気持ちはマジだから。

このリアクション問題どうしようかと思っていたある日「意志力の化学 WILLPOWER」って本に出会いました。ウィルパワーってなんじゃそりゃ。

なんでこの本を読んだかというと、中古で買うと7000円もするのに図書館で借りればタダで読めるからです。この本をざっくり要約しますと「人間には何かを決断する時に意志力ってものを使う。これは脳のHPみたいなもので使えば消耗しちゃうよ!」って感じです。

例えば結婚式の準備の時に夫婦で喧嘩しちゃうのは、プランナーとの打ち合わせ中、決定事項が多すぎて、意志力を使い切って冷静に考えられずに感情的になっちゃうからだよ〜みたいな例が散りばめられています。

中でもすごく面白い実験があったので紹介しますね。

被験者は指定された映画を観る前に3つのグループに分かれてもらいます。

A:普通にみる
B:リアクションを抑えながらみる
C:リアクションを大袈裟にしてみる

映画を観た後は3グループとも握力を鍛えるグリップを握り続けてもらいます。ずっと握り続けると手が疲れてくるけど、握り続けようと自分に命じることは出来るくらいの重さに設定してあります。

観賞するのは「世界残酷物語」という映画の一部、核廃棄物が野生生物に与える影響を描いたドキュメンタリーを観せられます。大きなウミガメが方向感覚を無くして砂漠に迷い込んでしまい、海を見つけられなくて、前肢をあてもなく動かしながら死んでいく姿。つらすぎます!

間違いなく泣けるシーンなのですが、全ての被験者が感情を表に出すのを許されているわけじゃない。指示通り平静を装う人もいれば、大袈裟に声を出して泣く人もいました。

鑑賞後にハンドグリップを握り続けてもらったところ、グループ単位で握り続けることが出来る時間に差が生じたのです。

普通に鑑賞したAグループは体力テストの結果に影響はまったくなく、映画の前後でハンドグリップを握っていられる時間に変化はありませんでした。

しかし、リアクションを抑えたBグループとリアクションを大袈裟にしたCグループの、両グループともにハンドグリップを握っていられる時間が大幅に短くなりました。抑えるにしろ大袈裟にするにしろ感情的な反応をコントロールしようとする努力が、被験者の意志力を消耗させてしまった、という結果になったそうです。

ということはつまり。

子供の写真をみて

「あー」と思ってるのに「カワイイ〜!」って言うのも、「カワイイ〜!」と思ってるのに「あー」って言うのもどちらも消耗してしまうということなのです!これはびっくり。つまり素直なリアクションが、本人にとって1番良いってことなんですね。

相手のためを思って「カワイイ〜!」って無理して言うだけで脳のHPが減るとか、人生ってクソゲーじゃんって思うけど、別に「あー」って言っても良いと思いますよ。

本当に楽しいこととか、本当に好きなことに出会ったときに、心から楽しんだり喜ぶためのHPが残ってないほうが嫌ですよね!これからも面白くないボケでは笑わないし、しんどいときは泣こうと思います。

飢えをしのがせていただきます。