ウマ娘の精神分析 第14章 キングヘイロー -一流デザイナーの母を見返そうとしている、高飛車なお嬢様-


 
 
●実在馬
 
サラブレッド オス 栗毛
 
1995年4月28日-2019年3月19日
 
父は80年代ヨーロッパ最強の声も高い、86年の欧州年度代表馬ダンシングブレーヴ、母がケンタッキーオークスなどアメリカのG1を7勝した名牝グッバイヘイローという世界的な良血馬。
 
97年秋、新馬戦から無傷の3連勝、クラシック(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)候補として名乗りを上げます。
 
しかし、スペシャルウイーク、クラスワンダー、セイウンスカイ、エルコンドルパサーらと共に「黄金世代」と言われなからも、タイトルを手にすることなく98年を終えます。
 
その後混迷期を迎えますが、2000年、短距離に転向した高松宮記念でついにGI制覇。
 
引退後、種牡馬としてもその良血ぶりをいかんなく発揮。
 
通算成績:27戦6勝 2着3回 3着4回
 
騎手は前期が福永祐一、後期は柴田善臣が多く騎乗しました。
 
 
●ゲームの声:佐伯伊織
 
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栗色の長髪。勝負服は明るい緑が基調。
 
母親は数々のGIを制覇した伝説のウマ娘。引退後はウマ娘の勝負服をデザインする一流デザイナーとして活躍中。
 
キングヘイローがウマ娘を目指すと言った時、才能がないからやめておきなさいと反対。キングヘイローは家出同然で飛び出します。
 
「一流」であることにこだわり、母親の娘と言われることを何より嫌がります。
 
「おーっほっほっほ」としょっちゅう高笑いをあげ、人を見下す言動が目立つ才媛です。
 
「あなたに○○する権利をあげるわ」という言い方を好みます。
 
 彼女の高慢さは、もはや滑稽(こっけい)の域に達していて、見方によれば痛々しくすらあります。
 
 セイウンスカイ、スペシャルウイーク、グラスワンダーと並ぶ世代とはみなされていますが、評判では完全にこの3人に遅れをとっており、自分だけが名前を覚えてもらえないのを悔しく思っていました。
 
もっともこの3人とは親しい関係にあり、互いに切磋琢磨する仲と言えます。
 
ただ、わがままで自己中心的なばかりではなく、例えば、セイウンスカイが自分の進むべき道を見失った時には叱咤激励するなど、ライバルのことを心配したりするところもあります。
 
母親から頻繁にかかってくる「もう帰って来なさい」という電話にはウンザリはしていますが、応対はします。
 
母親に、自分も一流と認めて欲しいという思いはありますが、結局愛情は求めているわけで、憎んでいるというのとは違うようです。
 
母親も、実は自分と同じ道を子供が進むことを、たいへんな道だと自分の経験上言えるものだから、反対しているのかもしれません。
 
むしろ問題なのは、親と自分を比較し、母親に自分を認めさせようとする似たようなことへのヘイローのこだわりと言ってよく、それが逆に、レースで結果を出しても、「さすが名ウマ娘の娘」とばかり言われるということに結びついているわけですが。
 
こうしたことは、親が業績をあげた人物で、しかし子供がその後を継ぐことは認めず、それでも親と同じ道に進んで張り合おうとする子供に見られがちな現象だと思います。
 
結局、自分は自分と開きなおってオリジナリティを打ち出す方がいいわけですが、これが空回りすると、変な袋小路に入り込み、三流の珍品になってしまうこともあります。もとより、親の援助をそれほど受けなくても、一定のお客さんがつき、ささやかではあっても生活がなりたつのであればそれはそれでいいのですが。
 
ヘイローの場合には、母親に認められようとすることとは異なる、自分らしい「一流」を極めようと心に決め、自分から記者会見を開き、大胆な路線転換へと踏み切っていきます。

 

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