ウマ娘の精神分析 第13章 セイウンスカイ -一見気ままなマイペース。実はしたたかな謀略家-


 
 
●実在馬
 
サラブレッド オス 芦毛
 
1995年4月26日 - 2011年8月16日
 
北海道鵡川町で生まれます。
 
父のシェリフズスターはイギリスでGI2勝などしていましたが、引退後来日して種馬となりました。200頭ほど種付けしましたが、生まれた子は全く戦果をあげませんでした。
 
牧場経営が息子に引き継がれたのを期に、セイウンスカイも売却処分されそうになりましたが、調教師の希望で売り残された3頭の中の一頭となりました。
 
育成段階では地味で見栄えもしませんでしたが、3歳になって見違えるほどバランスが良くなり、新人調教師の調教を受ける中で「これは走る」と期待されるようなります。
 
4歳になって万全の態勢でデビュー。血統が良くないことから前評判は低かったのですが、いきなり2連勝。
 
初のGII挑戦では脚の病気を経て調教が不十分の状態で臨まざるを得ず、スペシャルウイークに差し切られて負けますが、続く皐月賞ではスペシャルウイークとキングヘイローの猛追を押さえて優勝。
 
日本ダービーではこの2頭に及ばず4着。しかし菊花賞でははじめから高速で先行したまま長距離3000メートルを逃げ切るという30年ぶりの快挙でスペシャルウイークを破ります。
 
有馬記念ではグラスワンダーに4着で敗北。天皇賞(春)でもスペシャルウイークに差し切られ3着。天皇賞(秋)でもスペシャルウイークに敗れ5着。
 
脚の炎症による1年半の長期休養を経ての天皇賞(春)では、スタート直後猛スピードで先行しますが第3コーナーで失速、テイエムオペラオーの優勝に対して12着に沈みます。
 
この後脚を痛めて引退。種馬としては血統のいいスペシャルウイーク・キングヘイロー・グラスワンダーに比べてまるで人気が出ないままでした。
 
通線成績:13戦7勝 2着1回 3着1回
 
騎手は4戦目以降横山典弘。
 
●ゲーム・アニメの声:鬼頭明里
 
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草色のショート、勝負服も白を基調にして、襟とショートパンツのみ草色。
 
やる気がなくのんびりとしていて、授業もトレーニングもサボって昼寝をしたり、釣りに出かけたり、猫を相手にしたりしています。
 
そのクセ人をおだてて、ハメようともします。
 
「私の指導、楽ですよ。何ごとも、程度に、テキトーに、それがセイちゃんの長い人生を過ごす上での哲学なわけです。肩の力を抜いて、適切に、ゆるるんと、頑張っていきましょう」
 
ところが、模擬レースでは、一見省エネですが、実はいろいろ状況分析しながら、計算づくで走っているところがあるのです。
 
彼女はトレーナーに、釣り好きになったわけを話します。
 
GIウマ娘の子供とかでもなく、評価も高くない。無邪気に夢語れるほどの才能はない。持って生まれた身体からして、違う。
 
でも、「竿を手放す」のは、辛い。
 
だからこそ、いろいろ調べて、「仕掛け」を入れる。すると、誰も期待していなかったような成果が「釣り上げ」られる。そうした時の喜びは大きい・・・と。
 
ぶっちゃけ、楽をしたいのも、グータラしたいのもホントだから、努力! 熱血! 根性!というのはお断り。
 
でも、うまく「釣れて」、まわりも呆然としている時の感覚が、焼きついて、離れない。しれっと、勝ってやる。
 
トレーナーは、「一緒に、大物を釣って行こう」と提案します。
 
スペシャルウイーク、キングヘイロー、グラスワンダーとは普段から友だちであり、ライバルですが、彼女たちの才能、血統、身体、人気をうらやましく思い、劣等感すら感じているのです。
 
彼女には地元におじいちゃんがいて、「お前は三冠を取る器だ」と言われて育ったそうです。レースで成果を上げるとおじいちゃんからは電話がかかってきます。
 
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持って生まれた才能をデビュー時から輝かしく発揮し、注目を集め、日のあたる世界を歩み続ける人が、特にスポーツ選手とかでは、います。
 
その一方、別に名門校を出たわけではなく、ドラフトの際も地味で、マスコミも格段注目しませんでしたが、気がついてみると実力を発揮し始めるタイプの選手もいます。
 
そのぶん努力を積み重ねたということをアピールするわけでもなく、性格的にもひょうひょうとしていて、何を考えているのだかよくわからない。
 
時々観客をあっと言わせますが、表舞台に上がることは最後まで限られているけれども、目ざといコアなファンはある程度ついている。
 
よく観察してみると、勘所を押さえて技術を磨き上げていて、職人肌であることがみえてきます。ある意味では要領がいいのですが、それをひけらかすわけでもない。
 
史実馬も地味な血統だったセイウンスカイですが、恐らくそういうタイプのスポーツ選手をモデルにしているのだと思います。

もう一つのモデルは、中国の太公望でしょう。日がな釣りをして悠々自適の暮らしをしていたところに、軍師としての誘いが入るのです。
 
セイウンスカイは、マイペースのようでいて、実は脚光を浴びる仲間たちと自分を比較して、気にし続けています。
 
負ければ、結局自分はこの程度かと、結構落ち込みますし、実績をあげてきても、脚光を浴びるのはライバルたちということに気持ちをくじかれそうになります。
 
能天気でマイペースのように見えていたセイウンスカイが、実は悩み多い、虚しさと戦い続けているキャラクターであることが、ゲームを進めるにつれてわかってきます。
 
キングヘイローは、彼女にあきれつつも、実はいろいろと気にかけています。

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