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【Switch】『グノーシア』が面白かったので紹介したい
発売後すぐに買って、面白すぎてすぐにクリアしました。
感想を書きたいなと思ったものの、このゲームを自分の中で消化するのに時間がかかり……(というか今でも思いが募るばかりなので……)、ご紹介という形でこのゲームの素晴らしさをお伝えしたいと思います。
「人狼ゲーム」、「SF」、「ループもの」、「ミステリー」……といったワードに反応する方はぜひチェックしてみて下さい!
【公式ページ】http://d-mebius.com/gnosias/
【商品紹介ページ】https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000027791
『グノーシア』とは
簡単に言うと、「ループ系SF人狼ゲーム」。宇宙船に乗り込んだ14人のキャラクター達と共に、人間に化けている敵「グノーシア」をあぶり出すための人狼ゲームを行う、アドベンチャーゲームです。
制作は、インディーゲームながら大ヒットした「メゾン・ド・魔王」のプチデポットさん。メンバーはなんとたったの4人だというのだから驚きです。
人狼ゲームでありながら完全一人用のゲームで、相手は全てCPU。なので、議論が苦手な方、じっくり考えたい方、人とやるのが恥ずかしい方などでも遊べるゲームとなっています。かくいう私も、人狼のログを見たりするのは好きだけど、自分でやったことは一度もない人間でした。でも一回くらいやってみたい……そんな私にピッタリだったのがこの『グノーシア』でした。
▶人狼ゲームとは
・村人側と、村人を食う人狼側に分かれて行う議論ゲーム。
・「村の中に人狼が潜んでいるらしい」という前提の下、村人達はその人狼をあぶりだすために毎日議論をし、1日1人を選んで処刑していく。
・人狼は村人のふりをしており、昼は嘘をついて善良な村人を処刑させるように議論を仕向けながら、夜になると一人ずつ村人を食い殺す。
・ゲームの終了条件は、①人狼を全滅させた村人側の勝利、②村人側の数を上回った人狼側の勝利、③第三勢力(※いないルールもある)の勝利の3パターン。
『グノーシア』もこの人狼ゲームの流れに沿っており、議論を行う「昼パート」とイベントが発生する「夜パート」に分かれています。それを交互に繰り返し、終了条件を満たした段階で、一回のゲームが終了します。
実際の人狼ゲームでは緻密な議論が行われるため1ゲームの時間が長いですが、『グノーシア』においてはその辺りが簡略化されており、実は1ゲームあたりの所要時間は3分~10分くらいで、とてもお手軽。
また、一回のゲームが終わり、同じセーブデータで新しいゲームを始めるたびに、その回数が「ループ回数」としてカウントされていきます。毎回違う条件で行われる人狼ゲームを「平行宇宙」、それを何度も繰り返す行為を「ループしている主人公(=プレーヤー)」として扱うことで、ゲーム内にうまく落とし込んでいるのです。
そしてその「ループしている主人公」という事実こそが、ストーリーの根幹に関わっている重要な謎であり、その謎を解くことが、このゲームの”ゴール”として定められています。
ストーリー
異星体グノースに侵された人間はグノーシアとなり、人間を襲うようになってしまう。ルゥアン星系にてグノース発生の騒ぎが勃発し、そこにいた主人公達は、偶然着陸していた宇宙船へと避難する。しかし、無事に難を逃れたと思ったのも束の間、船内にグノーシア反応があることが発覚した――。
主人公は、セツと名乗る人間に起こされ、目を覚ます。セツによれば、隠れているグノーシアを見つけ出しコールドスリープするために議論を行うことが決定したらしい。さらにセツは”銀の鍵”という不思議なアイテムを主人公に差し出した。「きっと役立つと思う」、と言いながら。
議論の末、船内のグノーシア反応が消えたことが告げられた。他のクルー達と安心を分かち合っていると、主人公は突然意識が遠のき始める。そして目が覚めると、そこは再び議論を開始した1日目のタイミングで、議論の場には先ほど見かけなかった人間が参加していた。
何度議論を重ねても、終わった時点でまたループをしてしまう主人公。そしてそれは、最初に出会ったセツも同じであった。二人は協力しあい、ループの謎と、そこから脱出する方法を探し始めるのだった。
ゲームの流れ
ゲームを開始すると、このようにゲームの前提条件を設定する画面になります。ここで、それぞれの役職がいるかいないか、グノーシアは何人か、自分はどの役職でプレイするのかを選ぶことができます(おまかせも可)。もちろん、グノーシアになって人間を裏切りまくることもできますよ!
本作のイベントは、ここで設定する特定の条件下でしか発生しないものが多くあります。そのために役立つのが、何度かプレイすると現れる「イベントサーチ」。これを使うと、イベントの発生しやすい条件を自動で設定してくれるのです。迷ったらとりあえずイベントサーチを回して出た条件で始めれば、ストーリーが進んでいく仕組みになっています。
▶役職について(カッコ内は本家人狼で対応する役職)
グノーシア(人狼):毎晩1人の人間の存在を宇宙から消滅させる
エンジニア(占い師):毎日1人を調査し、人間かグノーシアか判別できる
ドクター(霊媒師):前日に処刑(本作では「コールドスリープ」)された人が人間かグノーシアのどちらだったか判別できる
守護天使(狩人):毎晩1人をグノーシアの襲撃から守ることができる
留守番(共有者):絶対に人間であることが確定している2人組
AC主義者(狂人):人間でありながらグノーシアに加担している。グノーシア側が勝利することでACも勝利となる
バグ(妖狐):第三勢力。グノーシアに襲われても消えないが、エンジニアに調査されると消えてしまう。どちらかの決着がついた段階で生き残っていると勝利となる特殊な存在
スタートすると、1日目の昼(議論パート)から始まります。このパートで、誰をコールドスリープするかを話し合います。
ここでプレイヤーが「発言する」ことで議論を有利に進めていくことができますが、何もしなくてもキャラクター同士がお互いを疑ったり、役職をカミングアウトしたり、協力しあったり……と勝手に議論を進めてくれるので、慣れない内は様子見をすることも十分ありです。
しかし逆に黙りすぎると「怪しい」とみなされてしまうので、そんな時は誰かが誰かを疑ったりした時にちゃっかり便乗しておきましょう。
プレイヤーもキャラクター達も、発言は基本的にこのようなコマンド式になっています。ダンガンロンパや逆転裁判に似ていると言われるところですね。
本家人狼ゲームでは、細かい言い回しでも間違えるとすぐに議論が不利になってしまうので発言が難しいですが、『グノーシア』においては、怪しい人には”疑う”、安全な人には”かばう”をしておけば良いという至ってシンプルな構造になっています。
↑コマンドの例。ループを繰り返しレベルを上げていくことで、他にも色々と便利なコマンドを身に着けることができますが、基本なのはいつでもこの12個です。
誰かが5回発言すると1日の議論が終了し、各々がその日コールドスリープすべきだと思った人に投票します。
↑今回はラキオがコールドスリープされることに決定しました。
この投票画面(=誰が誰に票を入れたか)も、怪しい人間を見極めるために重要な情報源です。ちなみに、この画面やエンジニアの調査結果などは議論中いつでも確認することができるので、ゆっくり考えたい人でも安心です。(Switch版は更にバックログ機能が追加されています。)
↑その夜、ジナがグノーシアに襲撃されてしまいました。
そしてまた昼に戻りますが、もしこの時点でグノーシアの数が生存者の過半数を占めた場合、グノーシア側の勝利でゲームが終了します。ただ、負けても経験値が入りますし、負けた時の小イベントも各キャラクター毎に存在するので、「〇〇のグノ顔(※グノーシアの本性を現した時の顔)を見れてラッキー」、くらいに思ってどんどん次のループに行ってしまいましょう。
個性的な14人のキャラクター
『グノーシア』には、一緒に人狼ゲームを行うためのCPUとして、14人のキャラクターが存在します。そのそれぞれが個性豊かな特徴を持っているのですが、なんでもアリな世界観が、数々の突飛な設定に不思議と説得力を与えています。
例として、代表的なキャラクターを何人か見てみましょう。
【コメット】(女)
ファンシーな見た目の僕っ子。野性的な環境の星で育ったため直観が突出して高く、他のキャラクターがついた嘘をすぐに見抜いてプレイヤーに教えてくれます。その代わりロジックが低いため、論理的にどう見ても怪しいやつがいても気付かないことがあります。ちなみに、肌に描かれている青い模様は、入れ墨ではなく粘菌とのこと。
【ラキオ】(汎)
汎とは、男でも女でもないニュートラルな性別のこと。手術を行うことにより、汎化することができるらしい。コメットとは反対にロジックが高く、少しでも論理が破綻している人間がいた場合、鋭く指摘して追い詰めていきます。ただしかわいげやステルスといったステータスが低いので、ヘイトを集めてしまう(=コールドスリープや襲撃を受けやすい)ため、最終日まで残ることが稀な人です。あと、夜のイベントでよくクイズを出してきます。
【ククルシカ】(女)
喋ることのできない少女。それでどうやって議論するのかと心配になりますが、身振り手振りで言っていることがわかるという設定なので安心です。彼女がなぜ喋れないのかという謎も、ストーリーを進めていけば明らかになっていきます。ククルシカはかわいげがとても高く、いくら怪しくても皆が同情し守ってしまうため、コールドスリープさせることが難しい強敵です。
【しげみち】(男)
ネタ枠。だけどとってもいいやつです。こう見えて80歳を超えているらしいのですが、まだまだ少年の心を持っています。しげみちはカリスマに特化しており、彼が発言したことには何となく皆が同調してしまいます。しかし演技力が無いので、直観が高いキャラクターには嘘が一瞬でばれてしまい、彼がグノーシアだった場合は大抵一番最初に吊られます。ラキオと同じく、最後まで生き残らせるのが難しいキャラの一人です。
↑全員このように6つのパラメータが割り振られており、それに従って行動します。プレイヤーは1ループ終了時に得られる経験値を消費して、自分の好きなパラメータを上げることができます。それによって議論で有利になれたり、新しいコマンドを覚えたりしていきます。
他にも、猫になりたすぎて猫化の手術途中の青年や、知性化されたシロイルカの女の子など、様々なキャラクターがいます。それぞれと時に協力しあい、時に敵対しながら少しずつ親交していくことで、彼らの秘密が解き明かされていき、どんどん愛着が湧いていくことでしょう。
ちなみに開発者のインタビューによると、これらのキャラクター達はまず「デザイン」と「それぞれのパラメータを反映したAIのみ」の状態で人狼ゲームをさせ、そこでAIが行ったプレイングを元にキャラクター付けをしていく、という手法で作られたそうです。だから、イベントで見せる普段の性格と議論パートでの挙動に、齟齬がないわけですね。これによって、よりリアルにキャラクターの存在が感じられ、まるで本物の人間とゲームをしているような没入感に浸れるようになっています。
最後に――『グノーシア』の魅力とは?
色々ゲーム内容のご紹介をしてきましたが、「結局『グノーシア』の魅力はなんなのよ?」ということが伝わっていないですよね? ここからは主観も交えながら、特にオススメだと思えるポイントをいくつかにまとめてみたいと思います!
①人狼が一人で気軽にできること
誰にも迷惑をかけず、恥をかかず、自分のペースで人狼ゲームを楽しむことができる……そんなありそうでなかったゲームを実現してくれています。また、そもそも人狼自体を知らない人のためにも、数ループに跨る手厚いチュートリアルがありますし、何度負けてもパラメータを上げていけばゴリ押すことも可能になっています(その頃にはおのずとコツが掴めてきてるんですけどね笑)。逆にヌルくなるのが嫌な人はレベルアップを止めておくこともできるので、本当に個人の好きなように遊べるゲームだなと思います。
②世界観、キャラクター
作中の会話から推測するに、現在の約1,000年後、惑星間の移動が当たり前になった時代。そんな時代には有り得るかもしれない!と思わせる奇天烈な設定やキャラクターがてんこ盛りです。そんな夢いっぱいの世界観ではありますが、反面ディストピア的な雰囲気もあって、『グノーシア』のキャラクター達は皆どこか闇を抱えています。それが作品全体に少し退廃的な空気を与えているのです。プレイを重ねて彼らのことを知っていくにつれて、「彼らが幸せになれる世界線があってほしいな」と思うようになっていきました。
③ストーリー
開発陣が「人狼パートと同じがそれ以上に力を入れた」と言うストーリー。人狼パートを邪魔することなく必要最低限の分量でまとまり、しかし何重にも重なった謎がみるみる解き明かされていくシナリオは、見事と言わざるを得ません。ここで詳しく語れないのがもどかしいのですが、人狼を(ゲーム世界の)現実に落とし込む際に生じる矛盾や疑問を、逆にストーリーの鍵として利用しているのです――例えば、「グノーシアはなぜ人間を消したがるのか?」「そもそもグノーシアがいなかったらどうなるのか?」
これ以外にもたくさんの魅力が詰まった『グノーシア』。その一部でも伝わって、この素晴らしいゲームが一人でも多くの人に届けば良いなと祈っております。(そうすれば、更に素晴らしいゲームが生み出されることでしょうしね!)
以上、長々とお付き合い下さり誠にありがとうございました。
【グノーシア】
発売日:2020年4月30日発売(Switch版)
プレイ人数:1人用
容量:471MB
価格:2,750円(税込)
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