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警察の命令口調に抗う善良な市民でございます

まだ自転車に乗れない発達障害の小学生の息子を自転車の後ろに乗せて二人乗りをしていた時に、おまわりさんに2回、命令口調で止められたことがある。

「ソコの自転車!止まりなさい!止まれ。ハイ寄せて止まって」

パトカーがマイクONにして呼びかけてるのは私か?
と振り返ると、徐行で追われてて、どうやら私のようだ。

車から出て来たおまわりさんが言う。

「自転車の二人乗りがアカンのは知ってるか?」
「知ってるよ」

そんなにまで威圧的な態度のおまわりさんではなかったんだけども、命令口調は続いてたので、善良な市民としてタメグチで事実を伝えてみることにした。

「今日も朝から市内を走ってる車が大音量マイクで訴えてたで?『金曜日はノーマイカーデー』ゆぅて。あれ市の車なん?毎週走ってるやん、車に乗らんようにしましょうて推奨しとる、金曜ね。金曜日、いろんな店がセールやってんのは知ってるか?ノーマイカーデーの金曜やから、車も免許もあんのに薬局のセール品を買いに行くのにこうして自転車に乗ってる。隣町まで行くから遠いねん。発達障害の息子を家にひとりで留守番させるわけにはいかんのよ。息子はまだ自転車乗れへんねん、置いて行けっての?金曜のセールに行くのに車使うなゆぅから自転車乗ってる、市民としてノーマイカーデーに協力してる。でも息子は自転車乗れへんねから二人乗りするしかないよ。金曜に車乗るな、二人乗りはすな、ならどうせぇ~ちゅうの?移動手段のチャリまで奪うん?今ココから息子を歩かせてチャリを押して薬局まで行け、てこと?家に戻るのも薬局行くのも、だいたい同じ距離くらいの位置やけど、この場所。どうしろ、て言ってんの?止めたからには何かあるんやろ?チャリに乗る、乗らない、私の選択肢は2つね。行くの?帰るの?」

「…まぁ、気を付けて行ってください」
おまわりさん、命令口調やめる。

「セール行ってもいいのね?乗るよ?二人乗りするで?してもいいのね?」
「まぁ道中、十分気をつけて行ってもらえれば…」
「ありがとう、わかってくれて。気を付けて二人乗りしますね」
「はい、気を付けてください」

感情的にならずに偽らざる気持ちと事実を伝えるて大切やな。

感情むき出しで売り言葉に買い言葉で巻き舌使いながら
「おぅラァ~(巻き舌)ケンカ売っとんのかぁ~高く買うぞコラァ~(巻き舌)」
とかゆぅて男性がおまわりさんにガンくれてる場面を時々見かけるけど、アレ良い結果に落ち着いたの見たことないもんね。

落とし物をしたから手続きに行った交番の前では、おまわりさんを含む3~4人の殴り合いが始まる寸前だったことがあったけど、殴りかかってるヤンキーより、全然手を出しそうにないおまわりさんのほうが怖かったの。

腰にたぶん拳銃とかさ警棒とかあるやん、おまわりさん。
結構な武器持ってるよね、おまわりさん。
なのに無抵抗で何も出さない気マンマンのおまわりさんが殴りかかりそうな相手に、ただただ向かって行って距離だけ詰めるて、見てて怖いよサイコパスみを感じた。
おまわりさんも、大変な目に遭ったりするんだろうね。
日々のトラブル処理で肝が据わっていってこうなったみたいなストーリーが見えたよ、勝手に。…ご苦労さまです。

2回目に止められた時は、道の向こうで金髪の若者に職務質問しているらしきおまわりさんが「おいそこのヤツっ!止まれっ!降りろっ!!」と怒鳴ってきた。
いくらなんでも「そこのヤツ止まれ降りろ」はナイよねと思ってね。

私は生活苦にあえぎながらも納税をしている。
だから基本的人権の尊重を今こそ主張する。
私と息子はこのおまわりさんの奴隷ではない。
命令で人の心は動かせないのだ、いくら警察でも。

そりゃ二人乗りの違反をしたのは悪いけどさ、母親が自転車に乗れない子供を乗せてるんだよ、二人乗りが許される年齢ではないけれど発達障害の息子が練習して自転車にやっと乗れたのは11歳。
自転車の二人乗りは子育て中の重宝する移動手段だったサ。
訓練とか手続きとか、いろいろ行く場所もあったからね。

障害福祉の法改正前で発達障害のボーダーはまだ何もサポートを受けられる状況に無い時代だったので、今ではちゃんと受けられるようなっている免罪符も当時は全て児童福祉課が「不認定」の一言で私から取り上げたってのに、今度は警察が移動手段のひとつを奪う気か。
説明の機会や、1回目のように偽らざる気持ちと事実を伝えるチャンスが欲しいけど、おまわりさんは道の向こう側にいるからちと遠いな…と思って私は聞こえないフリをした。

そしたらおまわりさんがね、さらに怒鳴るのよ。
「オイ!ソコの二人乗りの自転車!止まれ!」
もう人とすら扱ってもらえてない。

オイソコノ二人乗リノ自転車止マレ

母キトク スグ帰レ

の電報を彷彿とさせる胸の痛み。
嗚呼切ない…嗚呼悲しい…オイソコノ二人乗リノ自転車止マレ

私は大きな声で伝えたよ、止まらずにね。

命令でひとの心は動かせません!

職質されてた金髪の兄チャンがコッチ向いて何か言ってたけど、聞こえなかった。
怒鳴るおまわりさんに対して、同じ思いを抱いたと思いたい。
金髪の兄チャンからの私へのエールだと思う、きっと。

もうかれこれ15年以上おまわりさんに止められてないけど、今もおまわりさんて止める時は命令口調なのかな。
もしそうなら、善良な抗う市民の皆さんにはエールを送りたい。

感情的にならずに偽らざる気持ちと事実を伝えるのが吉ですよ。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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