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【本能のお知らせ機能】謎の消えるホクロ

「クミしゃんクミしゃん、見てんな、コレ消えるホクロ。用事が済んだら消えて無くなるとよね、何じゃろか?」
「オマヤァ…変なこと言うがなァ…ウチではいいけんヨソで言うなね?まっこちイカンどねぇ…」
「ばーちゃ~ん…よ~い…教えてんな~」
「のさんがねぇ…オマエはよぉ…」
「よ~~~い、ばーちゃんて~~~」

我が親族の中で【祖母のクミしゃんが言うことは絶対】という暗黙の了解があって「ばーちゃんが行くなげなよ行ったらいけないと言ってる」と言えば根拠も理由もいらない、行けば怪我をして帰って来るから。
「ばーちゃんがこげんせぇとこうしなさいと言ってる」と言えば根拠も理由もいらない、しなきゃ痛い目に遭うから。

そんな祖母が死ぬまで教えてくれなかったので未だにわからない「ヨソでは言うな」と釘を刺された機能が、私には搭載されている。

「消えるホクロのお知らせ機能」である。

掌と右手中指に出て来ては消えるホクロ。
子供の時から不定期に出て来る、何かのサインである。
でも何のお知らせ機能なのかが、ずっとわかんねぇ。


消えたり現れたりを繰り返すホクロ

子供の時分から気が付いたら手に突然ホクロがある、このように。

そしていつの間にか消えている、このように。

1~2年置きに出ることもあれば5年音沙汰がない時もある。
数週間~数カ月で消えることもあれば何年も消えないこともあって、掌のホクロは位置がいろいろ変わるけど、

右手中指のホクロはいつも同じ位置で、出て来ては消えるのを繰り返してる。

10年以上ホクロが出ていなかったのでこのお知らせ機能があることを自分でも忘れかけてたんだけど、2018年に久々に出て来て「この機能は何やろな」と思い出した現在は、左掌と右中指のホクロが消えずにまだ残ってる。

消えてる時にわざわざ手の写真なんて取らなかったもんでホクロがない時の画像がないんだけども、出来るだけ手がアップになってる昔の写真を探してみた。

左掌の消えるホクロ

ね?あったりなかったりするのよ、手のホクロ。

右中指の消えるホクロ

もしかすると身体の他の場所にも消えるホクロが出るかもしんないけど、手以外の己の身体をそうまじまじとは見ないので気付かないだけかもね。

そして本日の消えるホクロはこんな感じ。

右中指のホクロはだいぶ薄くなってるから、そろそろ消えるのかもね。

何のお知らせ機能なのかはわからない

私のカラダが私に何のサインを送っているのかは、わからないまま。
用事が済めばいつの間にか消えてるの、このホクロは。
そして用事があればまた出て来るのだろう。

消えるような何かを私がしてるんだろうけど、全く私はそれに気付けない49年間を生きている。

ひとつ思い当たるのは、今回このホクロが久々に現れた2018年頃にふと私は90歳を過ぎた祖父母との時間は残り少ないと思い、祖父母の介護をする時間を出来るだけ持ちたいと夫に相談し、宮崎と関西の二重生活をすることになった。
そして2019年、宮崎に帰る日の数日前、祖母は自ら死を選び突然この世からいなくなったんである。

戦後、食堂を営んでいた祖母は生活苦で心中しようとする人たちに500円札を握らせ「生きらんないかんよ生きなきゃだめだよ」と、数々の自殺を阻止してきた。
私には「寒さとひもじさでひとは判断を誤るから、ウチに来た友達はあったかくして腹いっぱいにして帰せよ」と口酸っぱく言っていた。
そんな祖母が、まさか自殺を選ぶとは。

病み上がりで空腹だった寒い日に祖母が自死したことは「寒さとひもじさでひとは判断を誤る」ことが本当だったと教えた。
最後の最期にそんな事まで祖母は私に教えて逝ったのだ。

6年という過去最高に長い期間消えずにあるこのホクロは私への戒めかもしれないし、忠告かもしれない。
私が誰かの死を受け止めるのにかかる時間だけこのホクロが消えない、そういう機能なのだとしたら、祖母の死後1年ちょっとで天寿を全うした祖父も含め、二人の死を私はまだ消化しきれていないのだろう。
ホクロが消えるまでは「もう少し時間をかけてもいいよ」という優しいお知らせなのかもしれない。

同じように「消えるホクロ」のお知らせ機能が搭載されてて、それが「何のお知らせ機能なのか」を知ってるかたは、是非ともコメントで教えてください。

#創作大賞2024 #エッセイ部門


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