月曜日のライブ

10月30日、19:15僕は六本木の交差点にいた。どうにかギリギリ19:20のYABI×YABIの出番に間に合った。
会場のunravel tokyoは、初めて訪れたライブハウスだったが、地下2階まで降りた先に全面ガラス戸の中が見えるステージがあって、入ってすぐお目当てのYABI×YABIの演奏が始まった。
後でセットリストを見て再確認したが、スタートはやっぱり思っていた通りの“柊”だった。アルバム『8OOOOOOZOO』の最後の曲で、インドのタブラの音が聴こえてくるインストナンバーだ。
その後、“パリロンドン”“JUDO CHOP”“空いた口が塞がらない”と演奏が続いていき、ドラムに迎えた大竹美希さんがYABI×YABIのサウンドによくフィットしていて力強いドラミングだった。CDの音じゃなくて、生身のギターとベースとドラムの対話が、この日ここにしかない音の空間を作り出していた。
続く“オレンジ色の憎いあんた”は、Hi Cheers!の時に歌われていた玲さん作詞・作曲の曲で、この曲だけはアルバム『8OOOOOOZOO』には収録されていないが、9月のnavey floorでのライブで取り上げられている。清涼感漂う近未来的なシティポップというナンバー。
続く“トマトマシュマロメロン”では、この日は自然にクラップがしたくなる雰囲気で、少し勇気を出して拍子を取って音に合わせて小さめに手を叩いてみる。斜め前の人も同じようにクラップしていて、他にも何人か手を叩いていたので、なんだか嬉しくなった。
そして、ラストの“マルチタスクガール”では、曲に入る前に、玲さんからドラムの美希さんの紹介があり、『美希ちゃんは、女優としての顔もあるマルチなガールなんです』というところから、『マルチなタスクをこなすガールなんです』とつないで。ファンの方から『最後の曲は』の合いの手が入り、曲名紹介をするという1コマもありほんわかしたアットホームなライブに。機材や音も良いライブだったので、とても贅沢な月曜日になった。

後日、改めてアルバム収録曲の“空いた口が塞がらない”を聴いていて、直感的に『これは、マイルス・ディビスのBiches Brewだ』と感じた。YABI×YABIは、2ピースバンドでギターとベースがバンドサウンドに収まりきらないスケールの音作りをしていて、どの演奏でもChieさんのギターソロが際立つ。この曲は、作詞・作曲が玲さん。拡声器のような声のラップに続く部分のセリフ部分でも、「あーもーうるさいなーとか言ってるだけマジ無駄 やべっ!今の聞かれてた?」と聞いてる側も共感してしまう日常の煮え切らない声そのもの。「空いた口が塞がらない」のフレーズを繰り返し、曲の終わりは玲さんの低くうねるベースに遠くでトランペットが聴こえる中「へへへへへへ 反吐が出そう」で締めくくられる。なんて自由奔放でアバンギャルドなんだろう。

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