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自宅で工芸を楽しむために〜シナアブラギリ編〜

シナアブラギリとは


トウダイグサ科アブラギリ属

シナアブラギリ(別名 オオアブラギリ)
中国名:油桐 you tong
英 名:tungoil tree, Chinese wood-oil-tree
学 名:Vernicia fordii (Hemsl.) Airy Shaw. Aleurites fordii Hemsl.

よく似た種にアブラギリ Vernicia cordata があり、こちらの方がシナアブラギリよりも国内に多く分布している。2種の見分け方として果実の先端を確認したところ、尖っていたので私が植えたのはシナアブラギリ

高知で初めて出会った個体


落ちたばかりの果実 この中に種子が3〜4個入っている


地面で乾いて割れた果実

中国南部原産で、かつて種子から油をとるために栽培していたものが野生化している。長野でも岐阜でも東京都下でも移り住んだ徳島でも、これまで一度も見たことがなかったが、仕事で高知に出かけた際に海からそう遠くない山の中で出会った。高知の他の場所では10m以上に育っているものも見た。


使い道


桐油は空気に触れると酸化して固まる乾性油で、和紙にしみこませて油紙とし、傘や提灯、雨合羽などに使うために盛んに栽培された。自分の身近なところでは幼少の頃に中山道の宿場町で土産物屋をしていた母方の祖父が、江戸時代らしさの演出の一つとして使っていた蛇目傘を思い出した。彼は黄門様と同じ格好で店番をして、印籠を下げ、タバコはキセルで飲んでいたからその蛇目傘もまったくよく似合った。

桐油は毒性があるために食用にはならない。人間が摂取すると下痢が止まらなくなるそうだ。現在は塗装用油として桐油を原料としたものが売られており、塗れば防水、防汚が期待できる。調べると外壁等雨風のよく当たる部分での使用に適していて、時間がたっても色の変化は少なく、香りが強いため、建物内部の塗装には向かない。なるほど。また日本では長く燈火用として用いられた。油の炎、いざという時は使えるかもしれない。現時点で何に使うかははっきりしないけれど、使い道はなんぼでもありそうだ。この苗が育って実が実らなければ何もできない。育てていこう。


さて現代、身近で何に使えるか考えてみよう。
外で使う籠の塗装に良いかもしれない。布に塗布すれば防水布にならないか?それを籠の中に敷いたり、籠の上にふたのように被せて雨や水分を遮断できないだろうか。屋外で使う治具に塗ると腐食を防げるか。木の柱や外壁に塗ってもいいね。

畑に植えた

2022年の冬に拾ってきて、2023年春にポットに種まきして膝下丈くらいに育ったものを、2024年春に畑に植えつけた。鹿に食べられないかどうかが何ともわからない。念の為、乾燥させないようにして冷蔵庫で種子を保管してあるのでそれもまいてみる。


畑はこんな場所


大きくなってね

参考文献


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