見出し画像

ゲームが好きな女の子のはなし

ポケットモンスター 緑 を買ってもらった。

最初のポケモンはフシギダネ。

勝てない敵が現れても、チーム構成を考えればすんなり勝てる。

冒険は無限に出来た。

同じ志を持つ、ポケモンマスターの友達もたくさんいた。

自分の捕まえたポケモンを友達と交換した。

交換ケーブルを持っている子は、人気者になれた。




いつしか一緒にゲームを楽しんでくれる女の友達は減っていった。

テレビに出てる男のアイドルや俳優に関心が向いたみたいだった。

自然と男の子と遊ぶ回数が増えた。



ゲームなんて男の子がするものでしょう


親に怪訝そうな目で見られるようになった。

興味がないものに、どう興味を持てばいいのか。

いくらテレビでアイドルを観ても、なにも面白くない。

ゲームを買ってもらえなくなったけど、男友達が安く譲ってくれたので、困らずに済んだ。




お化粧もアイドルもドラマも恋バナも。

ヒラヒラしたスカートだって、履きたくない。

運動も、勉強も真ん中くらい。

目も一重で、鼻も低くて、なんの取り柄もない。


でもゲームの中ではいつだって、

世界を救う英雄になれるし、好きな衣装に着替えられるし、頑張った分だけ強くなれる。


こんな年齢でゲームが好きなんて言ったら、オタクだと思われる。

だからゲームが好きなことは、内緒にしておこう。



インターネットの動画サイトで、ゲーム実況というカテゴリがあるのを知った。

何人かで集まって、ワイワイ楽しそうにゲームしているのを視聴する。

昔はこうやって家に集まって、ゲームクリアまでお祭り騒ぎをしてたなぁ。

いつ頃からだろ

ゲーム好きを隠して、興味もないドラマ観て、みんなと話を合わせるようになったのは。




社会人になった。

自分でお金を稼げるようになった。

はじめてのボーナスで自分に買ったものは、PS3。

これからは自分のお金でゲームが買えるんだ。

ずっとやりたくてたまらなかったソフトを買い漁る。

GWと年末年始は毎日ゲーム三昧だ。




いい雰囲気の男性と知り合った。

でも私がゲーム好きであると知れたら、気持ち悪がられるかもしれない。

少し勇気を出して「私、ゲームが結構好きで」と話す。

へー いいんじゃない。ゲーム面白いよね。

「変じゃないですか?女でゲーム好きなの」

なんで?好きなんでしょ?じゃあ、いいじゃない。

軽く笑われた。なんてことないかのように。


女でも、ゲーム、好きでいいんだ。

そうだったんだ。




あ、ここ!ここ!ねえ!一緒に見よう!!ご飯作らなくていいから!

台所に立つ私に、ゲーム画面を見るよう勧めてくる家族ができた。

私は料理を作ってるのに…とイライラしたことは一度もない。

私も自由にゲームをさせてもらっているからだ。




好きなものを好きと言える世界は、こんなにもワクワクとドキドキに溢れてる。

だから男だからとか、女だから と、好きなものを縛られない

好きなものを、全力で好きと言える時代になったらいいと思う。


とある、ゲームが好きな女の子のおはなし。