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うみにかえる。

南の島に住みはじめ、四半世紀が過ぎた。

それまでは高層ビルに囲まれた生活。
感じる風は建物からの熱気と車の排気ガス。
それが普通でどちらかと言えば、心地よく過ごしてた。

どこからどうなったのか、今は海に囲まれた島にいる。
朝起きてから窓を開ければ、海が見える。
感じる風も湿った塩気のある風が鼻をかすめる。
空を見れば雲の行先で、風の向きがわかる。
波の様子は風の向きでわかる。

海の様子は生活の一部となった。
特別な海の過ごし方はなく。

天気がいい日には海を見ながら朝食。
波の穏やかな日には船で沖まで。
1日の終わりには海に沈む太陽と。
嵐の後には海岸のお片付け。

人工的な温度から自然の温度へ。

海、私は本質的な居場所に還った。


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