Rock Novel 「シンデレラ物語」Voodoo Queen 其の2
「二人の女性の💓情念で将来僕の喉に異変が起きる
って事ですか!Voodoo Queen?」
「想像出来るかしら?
荒縄をクビに巻き付けられて、両方からそれぞれの
女性が引っ張っている図を?」
「ええ、漫画みたいですけどね。」
「笑い事で済めばいいんだけど。
事はシリアスよね。」
「私が見えるのはそこまでで、後はあなた
次第見たいよ。」
「え、そんな!何か僕の声を救う手立てはないんで
しょうか?」
「実は私はクリスチャンで育ったの
祖母がVoodooの祈祷師だったんだけど、
その息子つまり私の父はメンフィスのキング牧師
のお話を聞いて、クリスチャンに生まれ変わったの。」
「そうなんですか。」
「ええ、あなたはクリスチャンよね?
ロックスターには珍しく刺青も入ってない
ようだし。」
「ええ、タテゥーには興味がなくて。母がいつも
祈ってました。聖書も読んでくれて。」
「Voodooの祈祷師をしている私が言うのも
変だけど、あなたが子どもの頃の
クリスチャンの生活に戻れって事じゃない
かしらね?」
「音楽を捨てろと?」
「それは私も分からないんだけど、あなたの将来
を神に祈って、自分で結論は出さないで待つ。
奥様かメンフィスで巡り合ってしまった彼女、その
どちらかがロープの手を離す時まで待つ事ね。」
「そうですね、誰もが僕に意見するけど、人生の
処方箋まではくれないから、祈って待ちます。」
「ええ、それがあなたに心の平安をもたらすわ、
きっとね。」
「時が来るまで後半年はあるから、ステージで
思う存分歌うことね。メンフィスで倒れた
エルヴィスの様に!」
「後、半年ですか?」
「ええ、極東の方角に落ちて行く太陽が☀️見えるは。」
「日本に🇯🇵半年後に行く事になってます。」
「じゃ、その頃声が出なくなるわね。
それだけじゃなくて音楽業界自体が来年
91年にガラッと入れ替わるのよ、
あなたの再生は2021年になりそうよ。」
「そんな、30年後僕、60歳ですよ。」
「神はあなたに何をさせようとしてるのかしらね?」
「Calling って言うじゃないですか、天職」
「そうね、神は天分をあなたに全うさせる
為に寒い❄️辛い30年を与えるのかも
知れないわね。Long Cold Winter を!」
「エジプトを出奔して荒野でさまよったモーゼスの様に?」
「挑戦よね。」
「ええ、でも前向きな母が僕が落ち込んで
ると言ってくれるんですよ。
『最後よければ全てよし』って。」
「聖書でも『All things together for good』
ってあるものね!」
「ローマ書の2章28節ですね。」
「あら、凄いわね!ロックスターさん!」
「あ、照れるなぁ。Voodoo Queen
今日は貴方と話せて良かった。
面白半分でMTVの取材で来たんですが。」
「これも何かの縁でしょ。あ、女性には
気をつけてね。貴方は女性にあんまり
関心ないだろうけど、
女性の情は毒にも薬にもなるから。」
「はい、これ以上ロープが増えて八方から
引っ張られたら、声を失うだけじゃ
済まされそうに無いですもんね。」
「ハハハ〜 あらごめんなさい。笑い事じゃ
ないわね。」
「Voodoo Queen 笑ってないで、頼みますよ〜!」
(大笑い)
1990年11月
ニューオリンズ シンデレラ
「💓ハートブレイク ステーション」
アルバム発表パーティーにて。
トム キーファー (29歳)
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