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ロックノベル「もうひとりのミック物語」Crossfire Hurricane

「ローズおばあさま!」

「あら、メアリーどうしたの、急に。」

「この前ミックおじいちゃまの出てる映画ママとおじいちゃまと一緒に観て来ました。」

「ああ、例のローリングストーンズの
ドキュメンタリー映画?『クロスファイヤー ハリケーン🌀』」

「おばあさまも映ってましたよ、
おじいちゃまの後を追って楽屋に入って
行く姿が。」

「そう、今と全然違うでしょ?
もう45年も前の私だものね。あなたのママが
生まれた1971年頃よ。」

「ミックおじいちゃまもローズ🌹おばあさまも
とっても素敵でした。フラワーチルドレンって
感じのお洋服で。」

「あら、そう?びっくりしなかった?」

「ミックおじいちゃまは、ストーンズを
辞めた理由を『家族を薬物から守るため』
って映画の中で言ってますけど
ローズおばあさまはどう思いますか?」

「それは彼の都合のいい、言い訳だわね。」

「そうなんですか?」

「メアリーはどうしてそんなこと知りたいの?」

「だって、ミックおじいちゃまが何故
小さなママとローズおばあさまを置いて
アメリカへ行ってしまったのか知りたいから。」

「彼はね、ストーンズでやって行く自信が無くなっただけよ。21歳で子どもが出来て
まだ彼自身子どもだったんだから仕方ない
けれどね。」

「キース リチャーズがローズ ミラーにそそのかされてテイラーはストーンズを辞めたとも言ってますけど?」

「私はミック テイラーのギターが好きで
堪らないの。今でもよ。彼のキャリアを
邪魔した事は無いわ。一度たりとも。
全ては彼が自分で決めた事、私に何の相談も
しないで、74年にストーンズを辞めてしまったの。それが許せなかったわ。あなたのママの
為に75年に正式に結婚はしたけれど、もう
私の心は離れていたの。」

「じゃ、ミックおじいちゃまがママと
おばあさまを捨てた訳じゃないんですね?」

「違うわよ。私が離婚を言い出したの。
アメリカには住みたく無かったし、
ニューヨークもハリウッドもストーンズの
コンサートでついて行ったけど、
どっちも大嫌いだったしね。」

「そうだったんですか?!」

「まぁ、私達よりアメリカでの🇺🇸セッション
ギター🎸リストの仕事を取るしかあの人も
生きて行く術が無かったんだから、
私から別れる事で彼のキャリアの妨げには
ならなかった訳だからね。彼からギターを
取り上げたら何も無いでしょ?
死んじゃうわよ。ま、その後アメリカでも
酷い薬物中毒になった訳だから、死んじゃった
方がよかったかも知ればいけどね。ジミヘンドリックスみたいに神格化されてね。」

「ローズ🌹おばあさま〜酷い!」

「あら、ごめんなさい。
彼元気だった?」

「ええ、とっても。ママより若い北欧の
背の高い金髪の彼女と一緒でした。」

「やるじゃない、そこだけは
ロッド スチュワート並みね!でも
もうちょっと稼げたらねー。」

「おばあさま〜!」

「ハハハ〜どうしても彼の事は皮肉しか言葉が
出てこないわね。私とした事が〜ダメね。」

「それだけローズおばあさまはまだミックおじいちゃまが好きな❤️んじゃないんですか?」

「大好きよ😍首締めたい位に!
今でも後悔してる、やっぱりアメリカ🇺🇸に
ついて行けばよかったって、私が一緒だったら
薬物もやめて、もっといいミュージシャンに
なれたんじゃないかって、自分を責めてるの。
ジョニー ウインター夫妻みたいに最後まで
添い遂げたかった。」

「ローズ🥀おばあさま〜。」

「なーんてね、そんなのも自惚れよね!
そんな力私には無いし、もっと酷い
事になってたかも。私があなたのママを
連れてアメリカに渡ってたら、メアリーもこの世に生まれて来てない訳だしね。」

「それは一番困りますね!」

(大笑い😆)

「やっぱり、これでよかったのね。
ミック テイラーもミック ジャガー並みに若い
彼女今でも連れていられるんだから。大成功の
人生よね!私の選択で彼も助かった訳よ!」

「私、メアリーも無事にこの世に生を
受けたし、めでたし、めでたした。
ローズ🌹おばあさま、ママを一人で
育てて下さってありがとう。」

「メアリーが貧乏ミュージシャンと一緒に
ならない事だけ約束して頂戴ね。」

「私がローズおばあさまにそっくりってこの前も
映画の試写の時にストーンズのチャーリー ワッツさんに言われたので、それは約束出来ないかも!顔だけじゃ無くて性格も似てるって言われ
ました。」

(大笑い🤣)

「あらまぁ、先が思いやられるわね!」


The End

2013年
メアリー テイラー15歳
ローズ  ミラー テイラー66歳

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