【す】スタンド・バイ・ミーを観て

※この文章は、映画『スタンド・バイ・ミー』を観た感想文です。この映画をこれから当該映画を観る予定がある方は閲覧をお控えください。

1986年アメリカの映画。言わずと知れた名作ですね。

案外我々の世代の人間は、いわゆる映画界の名作なるものを観ていない人が多いんじゃないかと思うんですよね。私だけかもしれないけど。

教養として知っていた程度で、内容がまさかそんなトリッキーなものだとは思いもせず…。私はただ少年たちが家出して線路伝いに長旅する話だとばかり思っていたんだよ…。ベン・E・キングのスタンド・バイ・ミーがかかるなか延々と歩き続ける少年たちの動画だけは観たことがあったので…。以下あらすじです。

作家のゴーディが、昔を思い出すところから始まるこの話。ゴーディ、クリス、テディ、バーンの四人は、もうすぐ中学にあがる少年たち。木の上の秘密基地(だと思う)でいつもつるんでいるいわゆる「悪ガキ」。ある日バーンは兄たちが遠い森の中で死体を見つけてしまったという話をしているのを聞いてしまい、それを秘密基地で話すと、4人は死体を探す旅に出ることを決心する。見つけたらテレビで報道され、有名になれると思ったことがきっかけで始まった冒険の旅だが、その行方は…!?

思ったよりこの、「死体探し」という設定と4人の家庭環境がなかなかに絡まりあって、土台のストーリー的にはには成長譚なのですが、ものすごく子どもながらの人間ドラマというか、そういうものが繰り広げられます。特に主人公のゴーディとクリスは自分の人生に向かう勇気を培ったのではないかと思います。

ゴーディは4か月前によくできた兄をなくしており、厳格で古風な父からは嫌われていると感じていて、兄が死んだときに「お前ならよかった」と言われる悪夢を見るまで悩んでいます。最終的にはクリスの兄(超悪い奴)に拳銃を持って対抗するし、その後作家になったことを考えると、どうにかこうにか父親に理解してもらう努力をしたのでしょう。(もしくは見切りをつけたか)その後の人生を切り開くところが描かれていないのに、そういう想像の余地があるのがこの話の楽しいところだなぁと思います。

まぁこの話は最終的にゴーディが書いている物語なので、本当にそういうことがあったのかさえわからないことなのですが、クリスは後に弁護士になって、レストランで客同士のもめごとを仲裁していて刺されて死んでしまったと新聞に記事が載った描写があるので、映画の中では本当にいた人、と判断してよさそうです。

クリスは兄ちゃんが悪い奴ってだけで、本当はめちゃくちゃいい奴です。映画を観ながら何回か「いい子!!」と絶叫しました。すごくいい奴です。人間の機微にもすぐ気づくし、でき過ぎなくらい。ここはもしかしたら、ゴーディの創作上のサービスかもしれませんけど。ちゃんと幼馴染のゴーディのことをみていて、夢も応援してくれる。それでも兄がやんちゃなせいで、自分も色眼鏡で見られることに苦しんでいる。かれは「死体探し」の旅を終えたあと、「色眼鏡で見らることのないどこか遠く」に行き弁護士になるのですから、この旅をきっかけに価値観が変わったといっても過言じゃないでしょう。

最後に4人がどうなったか口頭で少し述べられるんですが、テディだけそんなに幸せになってないのなんかリアリティあって驚きました。これは紛れもなく現実なのではないかと思わされた。

子どもの成長譚にしてはかなり刺激的だけど、大人としてみるとものすごく勇気をもらえる話だった。過去のあの時は無駄にはなっていなかもしれない、いや、無駄にはしないぞという決意が固まったりしました。

あと、本当にスタンド・バイ・ミー名曲な!!おわりです。

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