映画「朝が来る」
興行収入1.5億で日本アカデミー賞の優秀賞をたくさんの部門で受賞している作品。アカデミー賞でも国際映画長編部門でも日本代表作品として選出されている。いろんな社会問題を取り巻いていて、一つ間違ったらどう転落をするのかが如実に描かれている。
映画であり、ドキュメンタリーという要素が大きく、現場の声がリアルに、そしてストーリーとしても内容のある映画で、社会問題を取り上げたとてもリアルで頼もしい映画になっている。
高齢出産との戦い
自分は何歳で子供を産むのだろうか。
養子縁組で朝斗君を授かった聡子は、38歳で子供を意識し始めていた。正直遅いんじゃないかと思っていたけれど、自分に置き換えた時、同じ現実が待ち受けているのかもしれないと感じる。自分だってできたら仕事をバリバリして承認欲求を満たされたい。居場所だと感じる自分だからできることを見つけてやっていたい。
でも年齢にはリミットがあるのは本当で、そんな部分の心情がドキュメンタリーのように描かれるから現実じみていて。
すごいドキドキしてしまった。
とても今の日本の現実や苦しんでいる人たちの「今」を如実に表していた。
小説では、もっと苦しみを理解してほしいというような苦しさがありありと描かれていた。
しかし映画では、心情の部分は描かれず、受けてがどう取るのかに任されているように思った。
養子縁組に対する周りの理解
子供で血が繋がっていないことを悪く思う人もいるし、大体の映画は、血が繋がっていないことを「悪く」捉える。
しかし、この映画では養子縁組に対して肯定的に捉えられている。
・子供が養子縁組であることを小学生になる頃までに理解している
・周りにも子供が養子縁組で授かっていることを伝えている
・周りから、血が繋がっていないことから非難されない
もっと血が繋がっていないことから非難されるのかと思っていたけれど、そうではない。「言ってはいけない言葉」を弁えた映画になっているように思った。
若年出産への心理的負担
14歳で生理もきていない女の子が出産をしてしまう。
自分の気持ちも理解してもらえない状態で、両親からの意見の押し付け。
自分の居場所の無さ。
まだそこまで性に対する教育もされていないから「良し悪し」の分別もついていない。
そんな彼女の人生は切なく壮絶であった。
ありありと書かれた、落ちていくしかない地獄への道は、印象に深く残っている。映画では、彼女の心情は描かれず、ドキュメンタリーとして現実だけを事実として届けている。
自分は、自分で言うのもなんだが、褒められることが好きで承認欲求を満たすために勉強をしていたが、その軌道に乗ることができない人もいることを描いている。
ああ、真面目な人と付き合っていてよかった。笑
両親の世間体ばかりに気を取られる感じとか、
子供の気持ちに蓋をさせる感じとか
みんなが共感できるんじゃないかなと思った。
最後に
小説を読んでからの映画であり、映画では解説しない心情を小説で読んでしまっていたため、少し縛られてしまう感覚があった。
でも、小説を上手く映画として映画にさせているように思って、「素晴らしき世界」と同じように新しい映画の形のように感じました。
いい映画を見させてもらいました〜