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自分の現実

「私は現在という時間が好きじゃない。理由は、ギスギスして下品だからだ。そんな世の中で起こる“事件”のようなものは、そういうロクでもない時代をそのまま表すようなもので、ますますロクなものじゃない。そういうものに巻き込まれたくはない。そして、黙っていれば、そういうつまらないものに巻き込まれてしまう。オウム真理教も嫌いならバブルもいやだし、トレンドもいやだ。その前のナウいもいやだったし、もうずーっと前から現実がいやだ。
いやだと言って、自分の生きている現実を放棄する気なんかない。自分の生きている現実だけは、自分の現実として確保しておきたい。たとえ、誰とも関係なくても、それだけは自分が生きて行く上での最低の権利だと思っているから。」

橋本治「SOMEWHERE IN MY MEMORY」
『冬暁』


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