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〈橋本治読書日記〉自宅待機になったので

『ひらがな日本美術史』全7巻を読破した。

同居家族がコロナ陽性になったので、あっさりと自宅待機になり、否応なく有給消化になった。家族の陽性判明と同時に受けた検査で私は陰性で、今日になっても症状が出ないので、感染は免れたようだ。毎日検査するわけではないので、陽性になった家族がいつから感染していたのかはわからない。自覚症状があって検査で陽性になったときにはもう遅くて、数日前からたぶん感染はしていたのだろうと思う。気づかないうちは隔離などの対策なく過ごしたが、他の家族に感染は広がらなかった。当事者になって得たのは、コロナは空気感染ではなく飛沫感染で、飛沫を徹底的に避けるしかないという実感くらいだ。

感染した家族が重症にならないかとか、自分にいつ症状が出るのかとかのネガティブな要素を抜きにすれば、私はずっと長い休みが欲しかった。

世の中の大半の人がそうであるように、私は会社員に向いてない。自分がメチャクチャ頑張ってる状態が“普通の会社員”のレベルだから、メチャクチャ頑張ってる状態をキープし続けないと社会で生きていけない。同じ時間に起きて会社に行くのがまず苦痛だし、「同じ会社の人」っていうくらいの曖昧な人間関係が一番苦手。会社が求めてくる人間の型みたいなものにはどうしてもフィットしなくて、気づくとズタボロに疲れてる。「ちょっと止まりたい」と言ったところで会社のスケジュールは止まらないし、毎日を必死に生きるだけでいつの間にか時間が何年も過ぎている。
だから私はいつか長い休みが欲しいと思っていた。自分のこれまでとこれからをじっくりと考えて、納得しながら前に進むために。

休みになってすることはまず体力と気力の回復、それと読書。『ひらがな日本美術史』は予定より一週間ほど早く読み終わった。私がしていることは基本的に「橋本治を読む」ことだけなので、ずーっと切れ目なく読み続けていれば、読んでいる本が長いとか巻数が多いとか関係なくなってくる。それでも達成感はあった。

『ひらがな』は橋本治の著作の中でも扱う時間の範囲が最も長い。橋本治の他の著作は大部分『ひらがな』の中に入ってしまう。私がなんとなく手を出しにくいと思っていた本は「その時代が自分から遠すぎてピンときてない」ことが大きな理由の一つだが、『ひらがな』全7巻によって日本史を猛スピードで駆け抜けた結果「もうなんでも読めるんじゃないか」というくらい気が大きくなっている。あの『双調平家物語』すらも『ひらがな』を経たあとだと怖くない。

橋本治『マタンゴを喰ったな』所収

家にある橋本治の本の目録を自作してたけど、PCが動かなくなって途中で頓挫したので、「蔵書マネージャー」というアプリを使い始めた。
目録を作成したのは、出版日順で並べて橋本治の年表と照らし合わせたいという理由もあったのだけれど、アプリでは自動で並べ替えもできるので便利。本を登録すると冊数や購入金額を自動で計算してくれる。
あとは、本を探すのが毎回重労働で大変なので、家の本を探しやすくすることが喫緊の課題。
日焼けと湿気から少しでも本を守るためにグラシン紙でカバーをかけていて、それもまだ終わらない。やることはたくさんある。

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