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朝を待つ光




私はLiquemの底抜けに明るいところが好きです。


※『Liquem(リキュエム)』とは「Liquid×Gem」の造語で宝石を溶かしたような架空のカクテルをイメージしたアクセサリーブランド。

身に着ける人の気分が高揚するようにという願いが込められている。

2017年6月にオンラインショップをメイン展開にローンチ。

2019年8月には浅草にリアルショップ第一号店をオープン。

さらに今年3月にはラフォーレ原宿に2号店をオープン。

かわいいのはもちろんのこと、プチプライスでプロダクトの在り方全てに作り手のこだわりやメッセージ性が濃縮されている中毒性の高いブランド。




Liquemは出逢ったすべての女の子の心を掴んで離さないブランドです。

ここで言う女の子は年齢も性別も関係ない、ただ一目見てキュンと胸の高鳴りを感じたらそれが答え、それが全て。


私にとっては大人になっていくために削ぎ落としてしまったものがそこにあって、別に無くさなくてもよかったんだと、拾い上げてまた大切に磨きあげるような存在です。


前述したとおりLiquemのデザインやコンセプトは底抜けに明るくエネルギッシュで、女の子であること、自分自身であることを全力で肯定してくれる力強さがあります。


そんなところが大好きなのですが、私個人の趣向としてはちょっとダークな、汚くて切ないものや怖くて儚いものが好きだったりします。


底抜けに明るいLiquemから、たったひとつだけ闇を感じるアイテムがありました。


昨年の10月より販売開始された、毎月スワロフスキーのストーンを色替えして発売されるマンスリーブルームリングというシリーズの1月のデザインです。

オーバルのセンターストーンはパティナというシリーズのブラックで、ストーンに黒い塗料を滴らせムラを際立たせたもの。

それを取り巻くメレストーンはムーンライトという色名の、まさに月の光を摘んできたような淡い偏光色のストーン。


Liquemからモノトーンの組み合わせが出ること自体珍しいのですが、このどこか物憂げだけど優しさに守られたリングが大好きでした。


Liquemオンラインショップの洗礼により入手には至らなかったのですが同じストーンを揃えて眺めています。



どんなにがんばって朗らかな姿を装ってもどこかに闇が滲むことがある。


きっと誰もが言わないだけ、見せないだけで濃度は違えど抱える瞬間があるのではないでしょうか。

私はそれを許せること、コントロールするのが上手くなることが大人になっていく条件のひとつだと思います。


マンスリーブルームリングの1月はその過程によく似ている。


強く、無垢であろうとする心に抱えきれなくなった悲しみや憎しみが―けれどそれをどうすることもできないという確固たる絶望が―浮き出てきてしまう。

その苦しみが赦された瞬間、穏やかで曖昧な希望の光を感じます。


最初の光は自力では作り出せないかも知れない。

誰かや何かが掬い上げようとしてくれるかも知れないし、そうかも知れないと思える瞬間こそが希望かも知れない。

月が太陽の光を反射して輝くような、曖昧な何かの力で。


明けない夜はないと言うけれど、その朝を待つまでの光があったほうが優しくないですか。


そのささやかな安らぎを受けて、おぼろげな光からまた強く無垢なものへ輝けるように手を伸ばす。


そんな哀しみと優しさの営みがひとつの光になったなら、きっとこんな指輪なのだろうと私は思いました。




マンスリーブルームリング企画はこれからも続いていく予定のようです。

どんな輝きが生まれていくのかとても楽しみです。

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