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【大人バレエ日記】大人はポワントで夢を見る

Mじゃないと、バレエなんてできない。

それも、ドのつくMでないと。

ポワントを履くたび、そう思う。

こんな窮屈で、痛くて、拷問みたいなもの誰が考え出したんだろ。

そして、それを履きこなすバレリーナはなんて美しいんだろうと。


大人バレエの憧れ、とりあえず履いてみたい、やるからにはそこに辿りつきたい、と思うのがこのポワント。

つい業界の人ぶってそう呼んでしまうのだけど、要はトゥーシューズのことだ。

私も3年ほど前かな。

それなりに上達したからでは決してなく、上達を待ってたら間に合わない、とっとと履かないと履く気力さえなくなる!誰も履けとは言ってくれないんだから!と、独断と見切り発車でポワントの練習を始めた。


バレエ教室なら先生の許可がないと履けないらしいけど、私は当時ジムバレエしかしてなかったので、履くのも履かないのも自由意志、自己責任。

アドバイスをくれる先生もおらず、ジムのスタジオレッスンの合間にYouTubeを先生にこわごわ立ち始めるという。。

今、その時の自分に会えるなら「やめてー!ケガしたらどうするの!」と止めるけどね。


はじめてショップでトゥーシューズを試着したときのときめきは、今でもはっきり思い出す。

それ以上に、私みたいな初心者が調子に乗ってすみません、みたいな恥ずかしくも晴れがましい気持ちもあったけど。

トゥーシューズは長靴みたいに数限られてるのかと思いきや、大間違い。

外国のメーカー、国産メーカー、それぞれにシリーズがあり、同じサイズでもそのシリーズごとに履きごごちはまったく異なり、自分の足にぴったりを探すのは至難の技だ。

でも最初はそんなこと何もわからず、お店の人にすすめられるまま、記念すべき一足目はすぐ決まった。(結局それは足に合わず、ポワントジプシーになるんだけれど)


以来、とにかくケガしないように、でもギリギリに無理はして、少しでもまともに立てるように(踊れるようにとまでは言わない)、ちゃんと教室に通って先生の指導のもとポワントレッスンをがんばってきた。


コロナ後は特にこれまで休んでた遅れを取り戻そうと、三日と明けず通ってるわけだけど、ずっと休んでたので、久しぶりに再開したポワントは普通のレッスンの数倍きつい。。

体を引き上げる意識が緩むと、たちまち立てなくなるんだなーというのを実感。

わずか1分ほどのバリエーションを踊るだけで息絶え絶え、マスクしたままはマジでやばい。。息ができなくて一瞬「死」がよぎるほど。。。

そもそもレッスンが私のレベル的には難しすぎる内容で、全然ついていけてないんだけど、このちょっと無理目なヤツをくじけずやらないと、大人は一生同じところから抜け出せない気がする。

子どもや若い子はちゃんと成長に応じた段階を踏むべきだと思うけど、大人はカンペキにはできないのが当たり前なので、細かいところは目をつぶり、少しでも美しく、そして何より前よりはできた!という達成感を感じたいのだ。


とにかく、ポワントを履くだけで、気分はバレリーナになれるのだから。

いいじゃないの、幸せならば笑


でも悲しいかな、それだけハードなポワントは、年齢制限というのがやっぱり厳然とあると自覚せざるを得ない。

ヒザがどうしても伸びない。

いつまでたってもまっすぐ軸に立てない。

引き上げが甘くなってきた。

足の調子が悪い。

など、人によって諦める時期はそれぞれだとは思うけど。


いつまで元気でできるのかなあ。

あと10年? いや5年が精一杯?

大人バレエの"ポワント健康寿命"は悲しいほど短い。


足の爪が剥がれただの、豆ができただの、そんなことさえプロっぽく思えてちょっと悦にいってる私たち。

どうぞ微笑ましく見守ってくださいまし。



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