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キン肉マン・リーダーシップ論 ~ソルジャー編 後編~


<ソルジャー編 前編はこちらから>

前編の冒頭で触れましたが、ソルジャーは運命の5王子ではありません。
その正体は、キン肉アタル、なんとキン肉マンの実の兄だったのです。キン肉アタルは王位継承を目的としてサバイバル・マッチに参戦したわけではありません。実は、正義超人たちの友情パワーが自立心のない馴れあいになりかけている現状に警鐘を鳴らし、キン肉マンに真・友情パワーを伝えることが、真の目的だったのです。その意味では、ソルジャーは目的を完璧に達成しました。ソルジャーはそこまでのことは語りませんでしたが、超人血盟軍のメンバーも、ソルジャーがまた別の目的を持っているであろうことは察知していましたが、それも含めてソルジャーの掲げた理想に共感し、立ち上がりました。「超人ひとりひとりの固い信念と自立心なくして真の友情パワーは生まれんぞ!!」とはソルジャーの言葉です。その言葉の通り、戦いの中でひとりひとりの超人がいかんなく力を発揮できたのは、ソルジャーのリーダーシップによるものでしょう。

以前、マリポーサはメンバーの特長を理解し、冷静な観察力と的確な分析力、入念な下準備をもって力を引き出したという話をしました。ソルジャーもまたこれに似たところがあります。メンバーたちに口をそろえて「なんという冷静で的確な判断力だ!」と言わしめたことからもそれがわかります。しかしマリポーサと異なるのは、メンバー自身にみずからの力を発揮させたということです。超人たちがこれまでに発揮してきた力の最大値を100とすると、マリポーサは、メンバーの100の力を引き出すことに成功しましたが、ソルジャーはメンバーみずからが120の力を発揮できるように導いたのです。

その甲斐あってか、戦いには敗れても悔いを残したメンバーは1人としていませんでした。結果がついてこなくとも、そのプロセスによって満足できたのでしょう。目指した理想は超人たち一人ひとりの真の力を引き出すことで、そこに充実感を得たのです。それは勝利という結果を目指す戦いの中でもたらされるものだったのですが、勝利自体が目的ではないのです。

スポーツなどでも同じことが言えるのではないかと思うのですが、つい目先の勝利を目的にしてしまう傾向にあります。結果ではなく、過程が大事、といったときにも、それが技術的、戦術的、あるいは精神的なものにとどまることも多いのです。目的を達成するための手段として、ひとつの目標として、勝利があったはずなのに、いつのまにかそれにとらわれるのです。手段の目的化という言葉はあまりに有名ですが、これは、わかっていてもなかなか越えられない壁です。なぜなら、勝敗というのは誰にでもわかる単純な評価指標だからです。物事を評価するには客観的なわかりやすさが求められがちです。しかし、本当に大切なことはほとんど主観的な指標によるのではないかと思うわけです。

ソルジャーは勝敗についてでもなく、格闘技術でもなく、不安や恐れを感じ、弱気になったたときにこそ仲間を叱咤激励しました。メンバーの個性や価値観を認め、それぞれの生き方、戦い方を尊重したのもまたソルジャーでした。そうして本人の力を本人自身に引き出させる、それがソルジャーのリーダーシップの肝だったのです。その影響力はソルジャーチームだけでなく、キン肉マンたち正義超人にも届いていました。ソルジャーチームの戦いぶりを見て、またソルジャーの言動に触れる中で、真・友情パワーという新たな指針を得ることができたのです。

今の世の中にも、それに共感する人たちやそういったリーダーシップを必要としている人たちが多くいることは、2013年から2年に1度おこなわれる超人総選挙において、4回連続(2013・2015・2017・2019)で超人血盟軍の5人全員がトップ10入りを果たしたことにも表れているのではないでしょうか。そして、それがいかに難しいことであるかということも同時に示しているのでしょう。

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2019年後半はソルジャー(アタル)一色となりました。時代にもマッチした胸熱展開、まだ読んでいない方は騙されたと思って一度読んでみることをお勧めします。

ということで、ソルジャー編はここまで。
さて、次回は、キン肉マンスーパーフェニックスです。

自分の真意を相手にベラベラと伝えるだけが友情の行為ではないということさ。それがわたしの提唱する真・友情パワーだ…(キン肉アタル)