湧水1

置場

昨日は盛り沢山な一日であった

まずは

午前中に前職で知り合った青年と会った

若い彼は何故か私と話をしたいと言ってくれた

私も彼に聞きたいことがあった


駅前で待ち合わせて

地下街の喫茶店に入った

すると

ウェイトレスの女性が

そっぽ向きながら注文を聞いてきた

心がない


コーヒーを頼み

いろいろなことを語り合った

お互いに目頭を熱くして真剣に話し合った

彼は年末にも砂漠の異国に旅立つ

私はその理由を

彼をそこに向かわせる根底にあるものを

どうしても知りたかったのだ


二時間話し合って

彼は私の思っていた通りの答えを言ってくれた

「何か人の役に立ちたい」

心が見えた


彼とはまた会うことを約束して

握手をして別れた

午後からは

雪印パーラーで小さな同窓会だった


数十年ぶりに会ったみんなと時間を忘れて話した

まるでそれはウキウキしながら

ジグソーパズルをしているような感覚だった


みんなで思い出のピースを持ち寄り

一つ つながると頷き

二つ つながると笑い

三つ つながると歓声になった

心が温まった


雪印パーラーに来るのは2度目だが

いつも混んでいる

今回気づいたのは

店のスタッフの接客の良さだ


注文を聞きに来る男性スタッフの笑顔がいい

人の目を見て話をしている

飲み物を運んで来る時も細やかな気遣いがある


なんといっても一番印象的だったのは

店を出るときに頭を下げていた女性スタッフだ

深々と私たちに礼をするその美しい姿には

来店したお客様に対する感謝の気持ちが溢れていた

心がある


心があると無いとでは

これほど違うものかと改めて思った

心があればまたその店に行きたいと思う

心がないと感じたなら

もう二度とその人に会いたいとは思わない


私の心はどこにあるのだろう

自分の胸に手を当てて

心の位置を考えさせられる一日であった


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