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学生

札幌からの帰り道

段ボール紙を持つ「こきたない」青年


そのプラカードもどきには、帰り道の途中の地名が

早速、車を止めそいつ中にを押し込み

俺「腹減ってないか?」

彼「はい・・・」

俺「モスでも食うか?」

彼「はい・・・」

俺「好きなもん頼め!」

彼「・・・はい・・・」

ドライブスルーでモスを購入

食わせながらおせっかいな事情聴取を始めた


話によると

彼は、神奈川の大学一年生で初めてのこの夏休みに

ツーリングクラブのメンバーと釧路から札幌まで来たらしい

自転車は実家に送った後、ヒッチハイクで神奈川まで

ひとりで帰るところだった


俺「そうか、じゃあ函館まで乗ってくか?」

彼「お・・・お願いします」

俺「じゃあ、ウチに泊まれ!」

彼「・・・はい・・・」

相手の意向も聞かず予定を決めてしまう俺のペースに

ハマる彼、少しおびえている

俺 「よし、まずは中山峠であげいも食うべ!」

  「つぎは、京極町で湧き水飲むべ!」

  「そうだ、温泉入ってソフトクリーム食うべ!」

  「腹減ったな、らーめん食うべ!」

次々と引っ張りまわされるので目を白黒している


でも、函館に着く頃にはだいぶ緊張感も取れ、冗談を

言い合えるようになった


翌日、函館見物をしたいという彼

遠慮しているのか、一人で行くというのを無理やり車に

押し込み、その日は俺の鞄持ちをさせた


仕事の合間合間にというより観光の合間合間に仕事に

つき合わせ函館山の夜景でその日の行動を締めくくった


さらに翌朝

フェリー埠頭でヒッチハイクするというので送っていった

別れ際に何度もお礼を言う彼

俺「こっちも楽しかった、また会おう!バイバイ!」

彼「さようなら、ありがとうございました」

俺「これ貸すから、どうしても困ったら電話しろ!」

携帯電話の仕事をしてたので余ってる1台を彼のポケットに

押し込んで別れた


自分でもやりすぎだと思ったが、なぜかその青年が

かわいくてしょうがなかった


二ヵ月後

東京に出張に行ったついでに、彼と会いあのときの話をして

二人で大笑いした

そのとき聞いたが、やはり俺のことを「危ない人」だと思い、

何度も車を降りようと思ったらしい


袖摺りあうも他生の縁(摺りあったわけでも無いが・・・)


あいつは、いまどうしてるかなぁ



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