帰脾湯


漢方薬に入っている生薬シリーズです。
今回は「帰脾湯」(きひとう)
「脾(ひ)」という文字が入っているので、胃腸が弱い感じで、疲れやすい・動悸・不眠・貧血・健忘などの症状の時に使われます。
不安やパニック症状など精神状態が安定しない時に有効。
高齢者の方にも使いやすい漢方薬です。

入っている生薬は・・・いっぱいあります。
黄耆(おうぎ)・人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)・甘草(かんぞう)
→これらは、五臓の「脾」の「気」を補うものです。大棗はなつめ、生姜はしょうがです。人参はキャロットではなくオタネニンジン。
茯苓(ぶくりょう):利水。水回りを良くしてくれます。サルノコシカケ科の菌核。(菌核って想像しにくいです(;'∀'))
遠志(おんじ):ハイジのおじいさん、ではなくヒメハギ科の植物の根っこです。精神安定効果あり。
当帰(とうき):血を補います。セリ科の植物の根っこです。
葉っぱをおひたしにして尼寺の皆さんが食べていました。「女性の味方~」と言っていましたよ。(NHKやまと尼寺精進日記)
竜眼肉(りゅうがんにく):薬日本堂の「心静のどあめ」にも入っています!リュウガンという果物の果実。気血を補います。
酸棗仁(さんそうにん):クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子。精神安定。悩んで眠れない時につかう「酸棗仁湯」という漢方薬もあります。
木香(もっこう):キク科の植物の根っこ。気を調整してくれます。

以上12種類です。
生薬をひもといてみると、漢方薬の雰囲気がなんとなく分かってきませんか?
帰脾湯は、精神活動の基礎物質である「血」を補って、「気」を巡らせてくれるようです。

この「帰脾湯」に、〇柴胡(さいこ)と〇山梔子(さんしし)を加えると、「加味帰脾湯」(かみきひとう)になります。
この2つは「清熱」(せいねつ)といって、熱を冷ますはたらきがあるので、イライラが強い時には加味帰脾湯が良いかもしれません。
ただ、私はこちらが胃に触さわって飲めませんでした(-"-)
ですので、帰脾湯を愛用しております♪

参考文献:岩田健太郎著「つまずきから学ぶ漢方薬」