古今集巻第十五 恋歌五 807番
題しらず
典侍藤原直子朝臣
海人のかるもにすむ虫のわれからとねをこそなかめ世をばうらみじ
題知らず
藤原直子
海人が刈る藻に住む虫の割れ殻は隠れているけれど、このわたしは隠れずに自分から声に出して泣きましょう、でもあなたを恨みはしません
「海人の刈る藻に住む虫の割れ殻と、音をこそ泣かめ世をば恨みじ」
上の二句「海人の刈る藻に住む虫の」は、「割れ殻」に掛かる序詞です。
「割れ殻」は、海藻に引っ付いている細い甲殻類、「我から(私から)」の意と掛けています。
「世」は、恋の仲、相手の男性を指します。
藤原直子(ふじはらのなおいこ)は、典侍(てんじ、ないしのすけ)で女官の最高位、または次官ですが、詳しいことはあまりわからないそうです。
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