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古今集巻第十七 雑歌上 923番

布引の滝のもとにて、人々あつまりて歌よみける時によめる
なりひらの朝臣
ぬきみだる人こそあるらし白玉のまなくもちるか袖のせばきに

布引の滝の元にて、人々集まりて歌詠みける時に詠める
業平朝臣
抜き乱る人こそ有るらし、白玉の間なくも散るか袖の狭ばきに

布引の滝の下で、人々が集まって歌を詠んだ時に詠んだ歌
在原業平
緒から抜き乱れさせた人があるようだ、白玉のような滴が間なく散ってくる、隠れる袖は狭いのに

白玉(宝石)は緒(紐)を通して結んであり、誰かがその紐を引き抜いて玉が飛び散る様子だと、滝のことを例えた上で、袖で自分を覆って飛び散る滴をしのぐけれども、そうするには袖は幅が狭いと言っています。
白玉は涙の例え、袖が濡れるのは泣いていること、袖が狭くてたくさんの涙を受け止められないということを連想させます。業平の袖が濡れるのは、いつも恋のことなので、この歌を聞いた人達は、今はどこの女性に通っているのだろうと想像したことでしょう。

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