古今集巻第十一 恋歌一 522番
題しらず
よみ人しらず
ゆく水にかずかくよりもはかなきはおもはぬ人を思ふなりけり
題しらず
よみ人しらず
流れる水に線を引いて数を数えても流れてしまって意味がない、それよりもさらにはかないのは、わたしを思ってくれない人を恋い慕うことだ
水に線を引いて数を数えることがはかないというたとえは、「水の上に数書くごとき我が命妹に逢はむとうけひつるかも」(万葉集巻11-2433)の歌があります。これらは涅槃経の「是身無常念念不在猶如電光暴水幻炎亦如画水随画随合」(簡略すると、無常とは水に画く如し)によるそうです。作者は少なくとも涅槃経は読んで知っていたことになります。
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