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古今集巻第十四 恋歌四 706番

ある女の、なりひらの朝臣をところさだめずありきすと思ひて、よみてつかはしける

よみ人しらず

おほぬさのひく手あまたになりぬれば思へどえこそたのまざりけれ

ある女性が、業平のことを「どの女性の家と決めずにあちこち通っている」と思って、詠んで送った歌
詠み人知らず
大祓えの大幣を皆が手に取るように、あなたは引く手あまたになってしまわれたので、わたしはあなたを思うのに、あなたをあてにすることは全く出来なくなりました

「大幣の(おほぬさの)」は引く手あまたの枕詞。大祓えの時に穢れを清める為に皆が手にとって体をなでるので、引く手あまただと言うことです。
「引く手数多」の語源は、この歌ではないかと言われています。

「えこそたのまざりけれ」は、
可能の助詞「え」
+強調の係助詞「こそ」
+あてにする意の動詞「たのむ」の未然形「たのま」
+否定の助動詞「ず」の連用形「ざり」
+詠嘆の助動詞「けり」の已然形「けれ」で、
あてにすることは全くできない、という意味。

#古今集 , #恋歌四 , #在原業平 , #大幣 , #引く手数多

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