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古今集巻第十七 雑歌上 895番

題しらず
よみ人しらず
老いらくのこむとしりせば門さしてなしとこたへてあはざらましを
この三つの歌は、昔ありける三人のおきなのよめるとなむ

老いらくの来むと知りせば門鎖して無しと答へて会はざらましを
この三つの歌は、昔有りける三人(みたり)の翁の詠めるとなむ

老が来ると知っていたなら、門を閉ざして、いないと答えて会わなかったのに

この三つの歌(893、894、895番)は、昔いた三人の翁が詠んだと言うことだ

「〜せば〜まし」は、反実仮想です。もし来ると知っていたならば、いませんよと言って会わなかったのに、実際には会って老いてしまった、ということです。
「老いらく」は、動詞「おゆ」の終止形+名詞化の接尾辞「らく」で「おゆらく」(老いること)が「おいらく」に変化したもの。

「この三つの歌」というのは、この歌と、893、894番の歌です。
894番、押し照るや難波の御津に焼く塩の辛くも我は老いにけるかな(頑張って生きてきたが私も老いた)
893番、数ふれば止まらぬ物を歳と言ひて今年は甚く老いぞしにける(今年は特に年老いた気分だ)

#古今集 , #雑歌上 , #老いらく , #門さす

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