古今集巻第十五 恋歌五 811番
題しらず
よみ人しらず
それをだに思ふこととてわが宿を見きとないひそ人のきかくに
題知らず
詠み人知らず
そのことだけでも言いたいと思うことだとしても、わたしの家を見たと、言わないでほしい、人が聞くでしょうから
「それをだに思ふ事とて我が宿を見きと、な言ひそ、人の聞かくに」
男性は秘密を守れないで、すぐにあの女の家に行ったと人に言ってしまう、言いたいかもしれないけど、黙っていてほしい、という歌です。
「見きと」は、「見たと」、
「聞かく」は、「聞く」の名詞形、聞くこと、です。
「な言いそ」は、「言うな」「言わないでくれ」です。「な。。そ」は緩やかな禁止の表現。
「な」は現代の日本語では失われた接頭辞の副詞の一つです。接頭辞は、禁止の「な」、可能の「え」があります。
例をあげると「雲なたなびく(雲はたなびくな)」「な焼きそ(焼かないでくれ)」「え進みき(進むことができた)」「え申し候はじ(申し上げられません)」などです。
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