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古今集巻第二十 大歌所御歌 1070番

ふるきやまとまひのうた
よみ人しらず
しもとゆふかづらき山にふる雪のまなく時なくおもほゆるかな

古き大和舞の歌
詠み人知らず
楉(しもと)結ふ葛城山に降る雪の間なく時なく思ほゆるかな

薪を結ぶ蔓草の葛(かづら)の名前と同じ葛城山に降る雪のように、絶え間なくいつでもあの人のことが偲ばれる

大和舞は、古くから伝承された舞で、宮中祭祀で舞うそうです。
「しもと(楉)」は、木の細い枝。枯れ枝を集めて薪にします。持って帰るために、葛(かづら)の蔓(つる)でくくります。
葛城山は、奈良県と大阪府の間の山。奈良県の中西部は雪は降っても積もることはあまりなく、「間なく時なく」しんしんと降ることは年に1、2度あるかないかです。大和の国で雪が降るのは、おめでたいこと、秋の実りが良いとされているように思います。
また、奈良県御所市の葛城地域は、天皇家と関わりの深い葛城氏の本拠地で、この歌や大和舞も葛城氏と関係があるのだと思います。このような舞いは宮中の雅楽ですが、伝統の一部は大和猿楽や能楽になっていったのかもしれません。

#古今集 , #大歌所御歌 , #大和舞 , #楉 , #葛城 , #山雪

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ちのみゆき
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