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古今集巻第十八 雑歌下 975番

題しらず
よみ人しらず
今さらにとふべき人もおもほえずやへむぐらしてかどさせりてへ

今更に訪ふべき人も思ほえず八重葎して門鎖せりてへ

今となっては訪ねて来る人があるとも思えませんから、雑草の蔓草が繁って門を閉ざしていると言ってください

もし訪ねて来る男性がいたとしても、本心で私に会いたい訳でも無いでしょうから、あの方が来たとしても、適当に断りを言って返してくださいね、と女が下女に言い聞かせる形の歌です。おそらく男性に、もう来ないでね、と伝える為に送った歌だと思います。または、本当は来てほしいけれども、素直になれない女の歌です。

「八重葎(やえむぐら)」は、雑草の葎(むぐら、蔓草)が八重(やえ)に、つまり多く繁っていることです。荒れた家の象徴で、それは、やって来ない男性を待つ寂しい女性、を言い表す時などに使います。

#古今集 , #雑歌下 , #八重葎 , #門鎖す

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