見出し画像

古今集巻第十七 雑歌上 866番

題しらず
よみ人しらず
限りなき君がためにとをる花はときしもわかぬ物にぞありける
ある人のいはく、この歌は、さきのおほいまうち君のなり

題知らず
詠み人知らず
限り無き君が為にと折る花は時しも分かぬ物にぞありける
ある人の曰く、この歌は先の大臣(おほいまうちぎみ)のなり

限りないあなたの為にと折る花は、季節にも関係なく咲くものであった
ある人が言うには、この歌は先の大臣の歌である

「限り無き君」は、生命や地位などが限りないことで、相手を誉め称える言葉です。
「時しも分かぬ」は、時候や季節を分け隔てることがない、という意味です。「手折った花」は、季節に関係なくいつまでも美しいので、「限り無き君」に渡すのにふさわしいもの、ということです。実際は、「時しも分かぬ花」は枝に付けた作り花なのかもしれません。送りたい歌に合わせて、それに見合う物を準備するのが雅なやり方です。
先の大臣は、誰か分かりませんが、「先の太政大臣(さきのおほきおほいまうちぎみ)」の藤原良房かと言われています。昇進祝いの贈り物の一部だと思います。

#古今集 , #雑歌上 , #限り無き君 , #折る花 , #時しも分かぬ物



応援してやろうということで、お気持ちをいただければ嬉しいです。もっと勉強したり、調べたりする糧にしたいと思います。