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古今集巻第十七 雑歌上 894番

題しらず
よみ人しらず
おしてるやなにはのみつにやく塩のからくも我は老いにけるかな
又は、大伴のみつのはまべに

押し照るや難波の御津に焼く塩の辛くも我は老いにけるかな
又は、大伴の御津の浜辺に

押し寄せる波が日に照らされる難波の美しい津で焼く塩は辛い、同じように辛くもひたすら生きて我も老いたものだ
又は、大伴の御津の浜辺で焼く塩の…。

上の句は「からくも」に掛かる序詞、「おしてるや」は難波に掛かる枕詞です。辛くも我は老いた事を言いたい為に焼き塩のことを序詞としています。
「大伴」は、難波のことあたりの古い名前。大伴氏の領地だったのでしょう。
「みつ」は、「み」は美称、「つ」は津、港のこと。「御津」と無理に漢字を当てました。
塩焼きは大変な作業なので、苦労続きの人生にふさわしいと考えたのでしょう。
「又は大伴の御津の浜辺に」という上の句の異伝があるので、万葉の頃など古くから伝わる歌なのかもしれません。

#古今集 , #雑歌上 , #難波 , #御津 , #おしてるや , #焼き塩

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