古今集巻第十五 恋歌五 779番
題しらず
かねみのおほきみ
住の江のまつほどひさになりぬればあしたづのねになかぬ日はなし
題知らず
兼覧王
浪速の住の江の松が長くそこに生えているように、あの方を待つことが久しく長くなった、蘆原の鶴がいつも鳴いているように、わたしも声に出して泣かない日はないのです
「住の江の松ほど久になりぬれば、蘆鶴(あしたづ)の音に鳴かぬ日はなし」
「まつほど」は、「松ほど」と「待つ程」待つ時間、の掛詞です。
「久になりぬれば(ひさになりぬれば)」は、時間が長い意味の形容詞「ひさなり」の連用形「ひさに」+断定の助動詞「なり」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の已然形「ぬれ」+理由を表す接続助詞「ば」で「長くなってしまったので」の意。
「蘆鶴(あしたづ)」は、蘆原にいる鶴です。
「音に鳴く」は声に出して「鳴く」意味。声に出して「泣く」こととの掛詞です。
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