見出し画像

古今集巻第十三 恋歌三 621番

題しらず

よみ人しらず

あはぬ夜のふる白雪とつもりなば我さへともに消ぬべきものを

この歌は、ある人のいはく、柿本人麿が歌なり


題知らず
詠み人知らず
あなたと逢わない夜が降る白雪のように積もるならば、わたしまでもが雪とともに消えてしまうだろうに
この歌は、ある人が言うには、柿本人麻呂の歌である

冬になって雪の積もる日は女に逢いにいけない、雪が解けて消える頃には、逢えない辛さが降り積もって、わたしも解けて消えてしまいそうだという歌です。「消ぬべき(けぬべき)」は「きえ」が詰まって「け」と読んでいるのでしょう。
ここでは注で人麿の歌となっていますが、写本によっては作者人麻呂となっているものもあるようです。人麻呂の歌は広々とした空間を感じさせますが、それがないことと、夜に女性をたづねていくことを歌にする平安期的な歌題から、人麻呂の歌ではないように感じます。

#古今集 , #恋歌三 , #逢はぬ夜 , #白雪 , #柿本人麻呂



応援してやろうということで、お気持ちをいただければ嬉しいです。もっと勉強したり、調べたりする糧にしたいと思います。