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『情熱大陸』石橋貴明回

情熱大陸の石橋貴明回観た。一言で感想を言うと「痛々しいが好感は持てる」。プライドをかなぐり捨てて惨めな今の自分の姿を受け入れている。

とんねるずの笑いは「部室芸」と言われたが、『みなさんのおかげです』は言わば、「超豪華な部室」だった。パロディー、下ネタ、楽屋落ちという普遍性のない、その場のノリだけの笑いをめちゃくちゃ金をかけてやり続けたわけだ。

このその場のノリだけの笑いは、バブル期と相性が良かった。なんせ日本人全体が変なドラッグでクルクルパーになってた時代。ナイトスクープから拝借したテロップ演出で、「何が面白いか分からないけど皆笑ってるなら自分も面白い」という大衆の意識を利用した。

『みなさん』の最終回では「バラエティーを滅ぼすなよ」と替え歌で訴えていたが、バラエティーをぶっ壊そうとしたのは秋元康ismの下で踊ったとんねるずに他ならない。

それでもとんねるずは長生きしたと思うが、『みなさん』の終わりの10年は言うなれば管だらけで延命治療される老人だった。グルメ+トーク、高額の買い物、それお笑いか?

1回の放送で日本人平均年収を稼いだとんねるずだが、その絶頂期は何でもできる全能の神状態で、やりたい企画、やりたい番組があるなら、何でもできたはずだ。しかし何をやっていた?

対する松本人志はお笑い界の覇権を握って、大コケ連発の映画から、すべらない話、IPPONグランプリ、キングオブコント、その他さまざまな企画を自ら立ち上げていまだに笑いのカリスマであり続ける。

とんねるずを中途半端に延命させたのはファンかもしれない。とんねるずが全盛だったバブルの時代は何もかもが楽しかった。その時代の思い出ととんねるずはリンクされ、実力以上の幻想的な評価が加算される。

不思議なのは、とんねるずが『みなさん』以外の番組をほとんど持てなかったこと。誰も声をかけなかったのか。高騰し過ぎたギャラがネックになったのか。

いずれにせよ、「笑いに拘っている」という偽のポーズを崩さない限り、石橋に未来はない。Youtuberとしてはトップレベルの稼ぎ手ではあり続けるだろうが、それは笑いではない。

高卒ながらインテリの石橋がやるべきは、知性を売りにした番組だと昔から思っている。部室から出よ。


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