タント節

ハァー呑んで帰れば そりゃよいけれど
どこでつけたか 口紅を
「コラ私というもの ありながら
どこでキスした この助平」
夫婦喧嘩も タントタント
それから始まる そのわけだんよ

ハァー村のはずれの 地蔵さんの前で
先の嬶ァとすれ違い すれ違い
「コラおかかマメなか達者なか
少しやせたかアレわるか
アレがよかろか悪かろが
今じゃ他人だチチしゃべな」
縁が切れれば タントタント
アイコの上作 そのわけだんよ

ハアー 一つ一目の 関所をこえて
連れてゆくのが現れた 現れた
「コラお江戸へ行くとて津軽いた
　津軽にお江戸があるものか」
ごう恥さらして タントタント
アイコの上作 そのわけだんよ

ハア－二つ二人の 口約束を
どこのどいつが喋ったやら 喋ったやら
「コラ 人の女房(かかあ)の寝ておるに
　起こして聞かせて腹立たせ」
あることないことタントタント
アイコの上作 そのわけだんよ

ハァー三つ導く 和尚さん方よ
今の浮世はアレじゃもの アレじゃもの
「コラ 南無からたんのうとらやあや
何遍申しても後生ならぬ」
姉じゃに色目コ タントタント
アイコの上作 そのわけだんよ

ハァー四つ夜酒コ なかなかやまぬ
薔薇の根コから薔薇コ出た 薔薇コ出た
「コラ おれに似たどこ さっぱり無え
先の親父にそっくりで」
冷やでも燗でも タントタント
アイコの上作 そのわけだんよ