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猫の値段

 猫の値段についての話。みんな避けたがるお金の話。まぐろは30萬圓。すごい値段です。30萬の買い物って、初めて買った中古のスカイラインが100萬、SONYの60型TVが26萬。まぐろが我が人生の買い物ランキングで堂々の2位だ。まぐろにサイトで出会うまで、当時の彼女に連れられて周っていたペットショップはいずれも好立地に店を構える、チェーン展開していない、いわば高級価格帯のショップだった(と言うことに後ほど気がついた)。店の中には80萬なんていうペルシャ猫もいたことを覚えている。それまで犬猫が苦手で、最も縁遠い場所だったペットショップの初体験がそんな店だったもので、私の猫相場はインフレ状態となっていたわけだ。ショップのHPでの検索条件も、価格帯はかなりゴージャスな価格帯で絞っていたと思う。何ならまぐろはこの可愛さに比して、安いとさえ思っていた記憶もある。なんでこんな可愛い子が家族が気まらずにいたのだろうと、当時の猫市場の幅広さについてしらなかった私は不思議に思っていたほどだった。思い返してみれば、10匹ほど並んでいたそのショップで、最も高額だったのがまぐろだった。要するに高くて売れ残ったということなのだろう。
 まぐろを迎えてからのこと。ご飯やオモチャを買うために、郊外の大きなホームセンターに行った時のこと。そこでも猫は売られていたのだが、驚いたことにどの猫も10萬を切る値段で、インフレ状態の私は目を疑った。と同時に、それまで私が訪れてきたショップの猫の生活空間の清潔さとは異なり、お世辞にも清潔で快適、とは言いにくい環境で猫たちは未来の飼い主を待っていた。その後に行った数件のホームセンター系の店でも、同じ光景を目にし、中には破格の安さで売られている猫もいた。
 ここまで見てきて、どうやら、キレイな店には高価格の猫がいて、そうでない店にはそうでない猫がいる、という相関関係があるということは概ね事実であると考えるようになった。そもそも生き物に値札がついて、さらには「セール中!」などどなっていることに少なからず心がザワザワするところへきて、この事実には何とも言えない気持ちにさせられた。いったい猫の幸せとは何なのだろう。高い値札が付けられると、売れ残る可能性があるが、裕福な家にもらわれていき良い物を食べ、良いケアを施してもらえる。一方、安い値札を付けられると、そこそこの生活環境の狭い空間に押し込められて飼い主を待ち、ゆとりたっぷりとは言えない家にもらわれて行って、、、、。さらに値下げ幅が少ない分売れ残るリスクも大きい。
 猫たちの知らぬところで人間に貼り付けられた値札によって、大きくその後の人生が変わる猫たち。猫は人間のことをどう思っているのだろうか。(続)

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