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猫との出会い

 うちには二匹の猫がいる。一匹はブリティッシュショートヘアの雌、もう一匹はスコティッシュフォールドの雄。先に家に来たのがブリティッシュ、半年ほどずれてスコティッシュと立て続けに家にやってきた。私の身内は私が生き物を飼ったということを聞いてたいそう驚いた。子供の頃の私と言えば、学校帰りによく野良犬に追いかけられて泣きながら家に駆け込むことが日常茶飯事だったからだ。猫も然りで、こちらは追いかけられるということはないが、ひどいアレルギーを発症して、クシャミが止まらず、目は痒みがひどく、とうてい一つ屋根の下でともに暮らすことなど、私も含めて誰も想像もしていなかったのだ。
 そんな私が猫と暮らすことになったのは不純な動機で、当時交際していた相手が猫好きで、出かけた先でたびたびペットショップに寄っていたことがきっかけで、彼女の、猫と暮らしたいという気持ちに沿うように、飼うことになったのだ。ブリティッシュが家に来て2ヶ月ほど経って、その相手とは別れる事になり、私の家には私と猫だけが残った訳だけだ。猫の名前はまぐろ。よくまぐろの缶詰を好んで食べていたので、この名前にした。残された猫が苦手な私が困ったのかというとそんなことはなく、実はペットショップを巡るうちにすっかり猫好きに変貌しており、何の障壁もなくまぐろとの二人暮らしが始まることになったのだ。
 何度かペットショップを巡るうちに、徐々に猫を飼うことを考えるようになった私は、暇さえあればショプのサイトを覗いてどの子を飼おうかと考えるようになっていた。一度この猫と定めて目黒の店に行ったことがあったが、私が着く少し前に、別な客によって既にお迎えが決まっていたということがあった。猫との出会いは縁とタイミングなのだろうと学び、次に狙いを定めた時には翌日には店に行き、お目当ての猫とガラス越しに対面することができた。それが後のまぐろだったのだ。店に着いたのが開店時間の10時。それから契約をするまでに、私は3度も店に出入りし、そのまぐろとなる猫を触らせてもらっては悩んでを繰り返したのだ。ペットを飼った経験なし、アレルギーあり(と思われる)、仕事で出張あり、等々の不安因子を店の中に居たままスマホで経験談を読み漁り、何とか自分を説得させることを繰り返し、その合間にまぐろを抱っこさせてもらって気持ちを高め、三顧の礼よろしく夕方4時くらいの三度目の抱っこをしたタイミングでお迎えを決断した。不安はあったが、飼うと決めている人間で一度でも抱っこした子を飼わずに帰ることはよほど難しいと思う。それくらい猫には不思議な抗いにくい魅力があると思う。
 これが齢36の3月のこと。この5ヶ月後にはもう一匹を迎えることになるとはそ想像もしていなかった3月のこと。(続)

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