「殺人犯の視聴率」を見た

ネットフリックスオリジナルのドキュメンタリー番組「殺人犯の視聴率」をやっと見終えた。この番組はちょっと前にネット上でかなり話題になっていたので既にご覧になっている読者諸兄も多いだろう。なので「何を今更」とお思いの方もそこら辺はご容赦願いたい。

さてこのドキュメンタリー「ブラジルの大人気番組の司会者が視聴率を稼ぐために自ら殺人事件を起こしていた!?」という紹介をされていた。殺人事件で逮捕された容疑者がウォレス・ソウザ(番組の司会者)に指示されてやったという内容の証言をしたことから全てが始まったのだがオチを言ってしまうと確たる証拠は見つからなかった。ウォレスも亡き今、真相は闇の中である。

私個人の見解としてはウォレスが本当に数々の殺人事件を指示していたかは甚だ疑問である。確かに多少後ろ暗い面はあったのかもしれない。しかし、彼の「犯罪を無くしたい、貧困層の人々を救いたい」という思いに嘘はないように感じた。それだけになんとも後味の悪い結末を迎えたなぁと思った、元からスッキリ終わりそうな内容ではないけど。

さて、先日上陸し日本各地に甚大な打撃を与えた台風19号。なんと台東区の避難所の一部がホームレスの受け入れを拒否したというのだ。なんとも酷い話である。ウォレスはあの番組から貧困層を救おうとした。助けを求める人々に仕事を与え、食料を提供した。自分の番組の若きスタッフの学費を負担した。もちろん日本とブラジルでは状況が違うのは重々承知だ。ウォレスも全ての人に施した訳ではないだろう。だとしても今の日本は不寛容な人間が多くなったと思ってしまう。それも金持ちが貧乏人を切り捨てる、というものではなくブルーハーツではないが「弱いものたちがより弱いものを叩く」というケースの方が多い。生活保護は恥。貧乏なのは自己責任。いったい何度このような類いの「暴言」を聞いただろうか。日々の苦しさからつい漏れてしまった「日本死ね」を自国へのヘイトスピーチだと訳のわからない批判をする者たち。何故日本人はここまで不寛容になってしまったのか。自民党によるとアベノミクスは順調らしい。仮に経済が本当に上向きになっていたとしても国民の心がどんどん貧しくなっていくのは危険だ。


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