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キャラクターが勝手に動く?

X(旧Twitter)のタイムラインに、こんなポストが流れてきました。

「キャラクターが勝手に生きて動いてるのでそれを眺めて描いている」
という表現は、どうしてもカッコつけてるとかオカルトとかみたいに受け取られがちだけれど、これは描いた事がある人間ならたいがい分かるというか漫画はむしろこのタイプで創作してる人が圧倒的多数派なので・・・(不思議よね

https://x.com/aokijuntarou/status/1802064396983963992


①連続ポストを転載

連続ポストも、非常に重要なので、以下に転載しておきますね。

むしろ 「キャラクターは自分の書いた台本のとおりに演技する役者」 「生きてなんて無い。タダの絵だ」 というタイプもいるんだけど超絶に極少数派(マンガ家全体にみる割合は極少数だけどその分わりと成功してる人が多い印象、ヒット作をコンスタントに出せるタイプの人に多い気がする

https://x.com/aokijuntarou/status/1802065381433258180

逆に言うと
「キャラが勝手に動き出すまでキャラと付き合わないとそもそも描きはじめることが出来ない」
「キャラがやってることと違うことは描けないから”もっとこうしたほうが売れるだろうな”と思ったりしてもそれにアジャストは簡単には出来ない」
「たまにプロット段階では優等生だったのにネームに移ると行動が変わって大変なことになる」
などなど、まあまあ問題が多いというかいちばん不器用(ということはあるいみ簡単?)なメソッドかもしれないですよコレが・・・(ゆえに最大多数派なのかもしれない

https://x.com/aokijuntarou/status/1802067240583606697

よくある「プロである以上『今こういうのが流行ってて売れるだろうな』は分かるけど、それを自分が描けるかどうかは別問題」はだいたいここに由来してる感ありますあります(だから敢えていうと『流行りや売れ筋を分析してその通りにキャラを描ける』ヤツはある意味天才

https://x.com/aokijuntarou/status/1802068299502780538

②作話は天才の仕事

さて、個人的な考えを。作品作りは、物語の神様が降りてきて、スラスラと自動筆記しているような感覚の人も多いですからね。

かのポール・マッカートニーが名曲『イエスタデイ』と創ったときも、あまりに簡単にメロディが生まれ、無意識に盗作したのではないかと、不安になってジョン・レノンに確認したとか。

そもそも漫画家は、全国に3000〜6000人しかない、特殊な職業ですから。
一種の天才です。みちろん、ウンウン唸りながら作っているという人もいますが。1週間や1ヶ月で作品が一本できちゃうのは、凡人には無理です。
ウンウン唸ると言っても、レベルが違います。

暗算の達人も、脳の中の巨大な算盤が勝手に動いて正解が出るので、それを読み上げてるだけ、と語りますね。
もちろん、実際は能が計算して政界を導いているのですが。
暗算の達人の場合、計算に使われる左脳ではなく、視覚イメージを司る右脳を動員して、計算しているという研究もあります。

③集合的無意識とは

脳の不思議な働きということに関して言えば、某先生はネームに苦労した事がなく、秘訣を「脳の奥の、サメの部分やワニの部分と大脳新皮質が繋がってる状態でネームを創る」と、語っておられましたが。

なんのコッチャと思いますが、これは中観派の瑜伽行唯識学派の仏教でいう、末那識と阿頼耶識とに、表層意識が繋がった状態なのでしょうかね? 

唯識とは、フロイトやユングの精神分析や、そこから導かれた無意識領域の力動を、個人的無意識集合的無意識で説明するよりも、もっと精緻なモデル化ですが。

ウィキペディアより

三島由紀夫の遺作『豊饒の海』4部作は、この唯識の影響を受けています。日渡早紀先生の『ぼくの地球を守って』も、たぶん影響を受けています。

構造主義のクロード・レヴィ=ストロースは、世界中の神話は神話素と呼べる単位の集合体で、この神話素自体はどうも、人種や民族や文化に関係なく、共通しているようです。

ヤップ島の作物起源神話が、日本の蛭子神話と似ていたりとか、物語を構成する要素は様々に変異していても、物語上の構造は不変であるという指摘が有り。

どうも作家は、脳の奥深いところの集合的無意識に溜め込まれた神話素を、脳の表層の知識とか経験とつなげて、物語を作っている可能性が。

④物語が勝手に生きる

ここらへんは、人それぞれ受け取り方はあるので、色んな人の紹介にとどめておきます。まずは、芦辺拓先生。

僕にとっては「物語が勝手に生きている」のです。9月刊行の『明治殺人法廷』では主人公の新聞記者が情報を拾うシーンで「おい、どうせなら誰か後の有名人に会わせろよ」という囁きが聞こえ、「じゃ、宮武外骨にしよう」となった。二人の立ち話に洋食の話題を入れたことで、主人公の東京追放のシーンに

https://x.com/ashibetaku/status/1802240033161884060


⑤仕掛け優先の作話術

星野之宣先生の場合。

キャラが作者の思惑を超えて動き出すことは実際によくある話だけれど、星野之宣先生(『2001夜物語』『ヤマタイカ』『宗像教授伝奇考』)は描きたいシチュエーションやSF的な仕掛けを台無しにされる可能性を嫌って、自作の登場人物はできるだけ凡庸に設定するという。

https://x.com/nao_arakawa/status/1802213929692934493



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