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質問箱019:印税率について

※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

【質問】


【解答】

①10%が基本だが

基本的には、一般的なパーセンテージはないですが、出版業界の伝統で売上の10%が多いですね。ただし、法律で決まっているわけではありません。原作付き作品ですと、漫画家と原作者で10%を分け合います。五分五分もあれば四分六分、二分八分なんてことも。

さらに海外の文学作品だと、元の原作者と翻訳者と脚本家にも、印税の支払いが発生するので。その場合、漫画家には2%とか3%なんてこともあります。

日本では、どんな売れっ子作家でも「業界の慣例です」で、10%以上を要求するのは難しいのですが。その代わり、専属契約や育成費という形での、出版社の補填がありました。

しかし今は、そういう専属契約もだいぶ減り、育成費も聞かなくなり。逆に、新人には8%とか5%、聞いた話では3%とか、厳しい噂も聞きますね。言うまでもなく原作付きだと、もっと下がります。

②電子書籍は別?

アメリカの場合も、新人は5%から12%との話も聞きますが、日本とは契約の形態が違いますので。そもそもアメコミは分業化が進んで、ストーリーを作る人、絵を描く人、カラーを塗る人と、アニメのように集団作業だったりしますしね。

ただ、売れた作家はプロ野球選手の契約更改と同じで、弁護士を代理人として雇って、出版社と交渉し、25%とかそれ以上の印税をを獲得することも。ハリーポッターシリーズの作者のように、自分で出版社を持つことも。

しかし、この慣例も電子書籍の登場と、AmazonのKindleが上陸して、この10年でスマートフォンが爆発的に普及し、だいぶ状況が変わりつつあります。

③電子書籍の場合

Amazonでの個人出版(Kindleインディーズ)だと35%の印税が著者に払われ、10%の慣例とは、比べものになりません。さらに、その作品をAmazonのみで独占販売にすると70%の印税契約となったため。

このため電子書籍に関しては、日本の出版社でも、20%とか場合によっては30%の印税契約も聞きますね。一般には20%が多いようですが。

本の売り上げから、本屋の取り分と取次会社(本を書店に届ける流通会社)と著者印税が出るのですが、電子書籍は本屋の取り分が丸々なくなり、また輸送費や印刷費もなくなるので、著者印税のアップは必然ですね。

④個人出版の場合

他にも、DMM同人だと、1000円の本は印税60%、2000円の本は72.5%、3000円の本は76.6%と、金額によって変動する印税率もあります。下記引用の画像を、確認ください。

2000円ぐらいの、骨太の本を出したら、印税率は70%チョイ。凄いですねぇ〜。というか、作家が自信の過去作品を、10巻分を合本にするなら、2000円でも買いませんか? ばら売りなら5000円から7500円が半額以下になるのですから。

他にもDLsiteなどの配信サイトはあり、こちらもなかなかの印税率です。

さらに他の配信サイトに作品配信を代行する仕組みもあります。興味がある方は、下記リンクを覗いてみましょう。

⑤作家も勉強必須

配信会社によって印税率は異なりますので、個別に確認をしてみてください。いずれにしろ、印税率に関しても、時代は変わりつつあります。出版社と仕事することで得られるメリットも、たくさんあります。

法的なトラブルでの対処、校閲部によるアドバイスや慈善のトラブル回避、海外展開、グッズの展開などなど、やはり大手出版社は強いです。アニメ化やドラマ化なども有利(セクシー田中さんのような例もありますが)。なので、表面的な数字だけ見ず、総合的な判断が大事かと。

そういう意味では、今後は作家の個人出版が、かなり増えると思っています。DTPの知識の有る無しは、重要度を増しそうです。出版の仕組みに興味があるなら、コチラのnoteも参考にどうぞ。


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