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質問箱008:次のページをめくりたくなる構成

※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

【質問】


【解答】

①起承転結の中の起承転結

これは、ネーム講座で教える高度なテクニックの部類になってしまうので、突っ込んだ解説は避けますが。簡単なヒントだけ書けば、物語全体に起承転結があるように、作中の各エピソードにも起床転結があり、各ページの中にも起承転結はあります。それをどう配置するかは、作者のリズムで異なります。

30ページの投稿作なら、最初のの5ページから9ページぐらいは、見開き2ページの中で起床転結が収まるコマ構成をし、徐々に左ページの下半分に次のエピソードの起にあたる部分がくるように構成して描くとか、それとは逆に転を左ページの下半分に置くテクニックもあります。

しかしこれは、ベテランの漫画家の高度なテクニックです。投稿者レベルでそれを使いこなそうというのは難しいので、あまりお勧めはしません。それ以前に、ネーム講座で学ぶコマ割りの基礎テクニックを知らないと、よほどの才能がないとかえって混乱するでしょうから。

②伏線の提示と回収をする

それよりは、例えば登場人物のセリフなどで「ところで先輩との約束、どうなった?」みたいなセリフを入れると、読者は「先輩って誰だろう? 約束って何だろう?」という疑問を持ち、それを確認するために次のページをめくって確認しようという、動機が生まれます。

推理小説における、「伏線の提示と回収」のようなもので、読者を特定の興味の方に誘導する、初歩的なテクニックでもあります。こちらの方から、まずは試されてみてはいかがでしょうか? ただしこの場合は、別の意味で構成力が求められますが……。

漫画だけでなく、小説や漫才、あるいは落語などを聞いていると、興味が持てずに途中で飽きてしまうものと、引き込まれてしまうものがありますね。そういう、自分がつまらないと思った表現の、理由をじっくりと考えてみると、効果的でしょう。

③読者に催眠術をかける?

自分は、奇声を発するタイプの漫才師があまり好きではないです。話が面白くないから、大声を出したりオーバーアクションをしたり。それ自体はきっかけとして否定はしませんが、漫画だと絵は抜群に上手いけれど話がつまらないタイプと同じです。

博多華丸大吉とか、特に大吉さんは奇声を発することなく、淡々と語りながら観客を漫才の世界に引き込んでいきますね。人間国宝の桂米朝師匠は、落語は催眠術と同じだと、語っておられました。落語の世界に観客を自然に引きずり込み、細部のおかしさを気づかせなくさせるような部分でしょう。

その催眠術でも、いきなり目の前で皿を割って相手を驚かせて、スッと催眠術に引き込むテクニックがあります。奇声とテクニックは、似て非なるものですから。正攻法と奇策を両方学んで、適時適材適所で使いこなせるようになりたいものです。


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