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ウナギの人工稚魚を大量生産

ちょっと嬉しいニュースですね。
鰻は美味しいですが、絶滅危惧種なんですよね、ニホンウナギもヨーロッパウナギも。

天然資源に依存していたニホンウナギの稚魚を人工的に大量生産する技術を、水産庁の研究機関が4日発表した。人工稚魚の生産コストは2016年度時点で1匹4万円以上していたのに対し、生産効率を高めて1800円まで下げた。今後、都道府県や民間企業へ技術を普及し、量産化を目指す。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB047PJ0U4A700C2000000/?n_cid=SNSTW005


①完全養殖と部分養殖

誤解されていますが、日本の養殖ウナギは完全養殖ではないんですよね。
あくまでも、天然の鰻の稚魚であるシラスウナギを河口で捕まえて、これを養殖業者が餌を与えて大きくして、出荷しています。つまり、部分養殖。
だから、天然鰻が激減すると、養殖ウナギも激減します。
もちろん、お値段も高騰。

これに対して、成熟した鰻から卵を採って、これを孵して仔魚から稚魚、そして成熟した大人まで育て、この大人の個体からまた卵を採って、孵してのサイクルができるのが、完全養殖です。

②多産系の鰻

この完全養殖自体は、何年も前に実験室レベルでは成功しているのですが。
なかなか仔魚が大人になるまでの、歩留まり率が悪く。
結果、1匹4万円とか、とんでもない数字に。

これが、最新の技術では1匹1800円まで下がったとのこと。
これでもまだまだ高いのですが、ここからは研究室から実際の商業ベースに乗せる話ですからね。

鰻自体は、マンボウの次ぐらいに卵を生む魚。検索すると、100万個とも700万個とも出てきますね。

日本の鰻の需要、消費量は年間約3億匹で、そのうち国産は約1億匹とのこと。100万個でも、30匹もいれば、計算上は全需要を満たすことに。
少なくとも、数百匹もいれば充分。

③関西風と関東風

鰻といえば、関西風と関東風では、だいぶ調理方法が異なります。
頭に錐を打って、独特の包丁(鰻裂き)で調理するのは同じなんですが、関西はお腹側を裂き、関東は背中側を裂くのが基本。

これは、江戸が武士の街なので、切腹を連想させる腹裂きを嫌ったから……ではなく。
調理法の違いです。

江戸はいったん白焼きにして、それからタレにつけて焼くので。
厚みの薄い腹裂きだと、蒲焼の両サイドがグズグズになりやすいので、背中裂きで厚いようにして、焼きます。

関西風は白焼きにしないので、背骨の処理など調理がしやすい腹裂きが中心に。

④関西風のタレ

調理法が違うので、味もかなり違います。関東風は柔らかく、蒸して白焼きするので脂が落ち、さっぱりしています。
関西風は味が濃厚で、脂も多めです。

歳を取ると、関東風のサッパリ柔らかいほうが、ありがたかったり。
鰻の味を楽しみたいなら、関西風のほうが濃厚ですし。
これは好みの問題ですので、お好みに合わせて。

また、タレの味も、ちょっと違いますね。
関西風だと、背骨から出汁をとります。誤解してる人も多いですが、醤油やみりんや砂糖だけから、あの美味しいタレは出来ません。

関西は軟水で、昆布や鰹節からお出汁を取る文化。ウナギの蒲焼も同じです。関西風の蒲焼は、タレの甘味も強く、とろっとしていますね。

⑤関東秘伝のタレ

関東風だと、蒸して白焼きにしたウナギを、ツボのタレに漬け込み、ここで鰻の身から出る旨味の成分が、独特の味わいを生みます。
まさに、秘伝のタレですね。
江戸前の寿司の、穴子のタレと同じ。

甘さも控えめで、サッパリしています。
関東と関西の醤油の違いもあって、風味も違いますね。

できれば、絶滅を気にせず、鰻を食べられる日が、一刻も早く来てほしいです。


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