【小説】トリック・ライターのボクが異世界転移したら名探偵貴族に? 第1話①
序章■死刑宣告を受けたその日 1
「───汝の死を以って、其の罪を贖うことを許す」
長い顎髭の裁判官が、そう告げた。
汝ってのはどうやら、ボクのことらしい。
小難し言い方をしているが、要するに死刑ってこと?
ここは法廷──といっても、傍聴席もない8畳間ぐらいの広さだ。
裁判官も一人きりで、他には書記官が一人。でもそいつは、東京地裁で何度か裁判傍聴した裁判官とは違い、妙チクリンな黒服を着ている。
いわゆる法服ってやつだろうか? ピラピラした貫頭衣みたいなアレ