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中国商戦ドラマとシミュレーションゲームに学ぶ中国式投資 -マッハ白書「HTML5ゲーム白書2018」のお知らせ-

晚上好。Gaoqiaoです。

前回の更新から4ヶ月ほどが経ってしまいました。この間中国の会社と協業で有名キャラクターを使ったHTML5ゲームを開発したり、HTML5ゲーム関連で中国企業と日本企業のパートナーシップをお手伝いするなど色々と活動していました。

問題はこの体験で得られた知識がHTML5ゲームに偏り過ぎていてnoteに書こうにもネタが偏り過ぎる可能性があることです。話したがりの私としては今まで通りFacebookに書いてもいいかとも思うのですが、noteの読者の方々とFacebookの読者は当たり前ですが全然違って、noteの読者の反応が新鮮で私にとってはここで何かを書くのを辞めるわけにはいかないと思っています。

そのため今後は下記のように情報発信をしていきます。

・Facebookは基本的になんでも書く(秘密保持契約の範囲内を除く)。

・HTML5ゲーム関連はマッハ白書「HTML5ゲーム白書」にまとめる。

・noteは中国文化や日本文化について幅広く書く。

ここで突然「マッハ白書」という概念が登場しています。

先日、クリエイターによる創作の総合マーケット「BOOTH」でマッハ白書「HTML5ゲーム白書2018」という電子書籍を頒布し始めました。

VRで有名なGOROmanさんが4月に移動のフライト中に一冊の本を書く「マッハ新書」のムーブメントを起こしていて、それに触発されて一晩で書いた原稿を元に構成しました。

マッハ白書のコンセプトは2018年以内はずっと追記していき、寄稿いただけるライターが増えたら本の価格を上げて売り上げを一定の比率でレベニューシェアするというものです。

前回の記事で書いたように世界的にHTML5ゲーム市場が広がっている今こそ世界中の情報を網羅した白書があると超便利と思っていました。

しかしそういうリポートは世界中見回しても存在せず、中国のゲームメディアとゲームエンジン開発会社が国内市場の状況をまとめ記事のような形で書いているのみという状況でした。

私は広義の国内外のHTML5ゲーム産業に2012年から継続的に関わっていて、日中のHTML5ゲーム産業にリアルタイムに参加していて複数本のゲーム制作、プラットフォーム運営まで行なってきた上に、それぞれのプラットフォームから独立していてしがらみがないという立場ですが、この産業にはたくさんの先輩方がいますし、リアルな話私に書けるのは日本市場の過去分析と中国市場の現状分析だけで、日本市場の現状分析と中国市場の過去分析は知識不足、欧米市場についてはほとんど知らないという状況です。

そこで思いついたのがGOROmanさんのマッハ新書という概念にレベニューシェアを結びつける方法です。

レベニューシェアというのは私が行なっているゲームビジネスやライセンスビジネスでは一般的な概念です。1つのプロジェクトで複数の会社が関わって、労力やお金を負担した分売り上げをシェアしようというフェアな契約手法で、この方法であれば未完成でも出版できますし、たくさんのライターが関わっても原稿料を出せます。

初版(アーリーバード)は後から購入するのに比べてお得に購入できるというメリットも生まれました。

ということでHTML5ゲームに関しての情報が知りたい方はHTML5ゲーム白書をご覧ください。


ここからは表題の商戦ドラマの話に移ります。

商戦ドラマとは日本でいう経済ドラマです。近年中国の若い世代を中心に都会的な世界観で恋愛要素を持った経済ドラマが流行っています。ちょうどバブル期のトレンディドラマみたいな感じですが1話1時間で話数が50とかあるのでもの凄いボリュームです。

昨年公開されて大ヒットとなった猎场(Game of Hunting)はヘッドハンターを題材に硬派な世界観が売りのドラマで公開当初は評価が低かったものの、どんどん評価が上がって行きました。

私がこのドラマを知ったのはこれと同名のHTML5ゲームが配信されていたためです。

このゲームはドラマとは世界観が少し変わっていて、主人公は不動産投資会社の共同経営者となって地域開発を進める内容になっています。

このオフィスから様々な指令を出せるようになっています。

ミニチュアの置いてある部分にある西湖湾という場所を押すとこの開発画面に移ります。ここでは店舗を作ることができます。

店を建てる時には人を採用します。ここがヘッドハンティング要素でしょうか。

会社のレベルが上がると創業園に行けます。中国ではここにある創業園のような地方政府と投資会社が一体となって運営するインキュベーションセンターがオフィスの提供だけでなくベンチャー投資を担っています。

ここが日本と中国との大きな違いですが、日本でいうとインキュベーションセンターというのは中小企業向けにオフィスを貸してくれるだけの不動産屋です。ファンドや経営支援は実質的に別れています。

中国ではこのようなインキュベーションセンターがいたるところにあり、厦門には34のインキュベーションセンターがあります。これらのほとんどに市区政府や大企業の資本が入り、投資の機能を持っています。

そのうちの一つ「厦门游戏创新中心」を紹介します。

ここは前回の記事で紹介したChukong Technologies(触控科技)が厦門市集美区政府らと共同で運営するインキュベーション施設です。巨大なビルの中に数フロア施設があり、様々な企業が事務所を構えています。

この地域はまだ開発中のため周りは寂しいですが地下鉄もあり、中国の開発のペースだとあと2年もすると下のミニチュアのようなビル群が生まれるはずです。

Chukong TechnologiesはHTML5ゲーム開発に広く使われているCocos Engineの開発会社です。現在は分社化している雅基软件もここが投資したことから現在は厦門にありますし、大ヒットしたHTML5ゲーム「愚公移山」を開発した厦門BearJoy(厦门比悦网络科技)もここが投資しています。この地域のHTML5ゲーム産業を牽引するインキュベーション施設の一つといえるでしょう。

猎场(Game of Hunting)HTML5ゲーム版と同じように街のミニチュアが置いてあるところには感動すら覚えますが、これは中国の創業園ではよくある風景です。箱物と資金の両方を莫大な量とスピードで動かすのが中国式投資です。これを学ぶのに猎场ゲーム版はとても参考になります。

今年始まったドラマで次の猎场といわれているのが「金牌投资人」です。

こちらは最初から評価が高くなっています。理由は投資会社という比較的イメージしやすい業態を舞台にしていること。恋愛パート、コメディパートが全体の半分を占めているということです。

ほとんどがホテルとオフィスのシーンで構成されていて猎场のように刑務所のシーンもあるような高コストな感じは一切ないのですが、恋愛模様の描写とそういう私情の投資案件への絡みがわかりやすくて面白いのだと思います。ゲームもこっちの方に似ている感じがします。

またもやHTML5ゲームに偏ってしまいました。成長著しいHTML5ゲーム産業の最新情報や歴史、詳細についてはマッハ白書「HTML5ゲーム白書」をご覧ください(宣伝)。


中学時代からソフト開発販売、路上ライブ情報配信、地域情報動画配信で起業。2年のMBA生活+7年弱のサラリーマン生活を経てゲーム会社グラティーク創業。代表取締役将軍。中国でのゲーム開発をきっかけに月の半分厦門で生活しています。