すーあくえすと♯1


第1章 - 旅立ちの朝

村の朝は穏やかで、太陽が徐々に顔を覗かせるころ、スーア・ローズの家からはスパイスの香りが漂っていた。カレーを愛してやまない彼女は、毎朝早く起きてカレーを作るのが日課だった。今日もまた、スパイスの調合を完璧に仕上げるために、香りを確かめながら鍋をかき混ぜていた。

スーアの夢は、究極のカレーを作り、世界中の人々に幸せを届けることだった。彼女のキッチンには、カレーのレシピ本やスパイスの瓶がずらりと並んでおり、その情熱は誰もが認めるところだった。村人たちは、彼女のカレーの香りに誘われ、時折訪れることが楽しみになっていた。

「おはよう、スーア先生。今日もいい香りだね。」村人のソウズが、スーアの家の前を通りかかりながら声をかけた。

「おはようございます、ソウズさん。今日は特別な日なんです。ついに旅に出る準備が整いました。」スーアは微笑みながら答えた。

「旅に出る?どこに行くんだい?」

「実は、究極のカレーのレシピを手に入れたんです。でも、そのためには世界中を回って素材を集めなければならないんです。」

「それは大変だ。でも君ならきっとできるさ。気をつけて行っておいで。」

ソウズは心からスーアの成功を祈り、彼女を送り出した。スーアは最後の準備を整え、小さなリュックサックにスパイスの瓶や簡単な食料を詰め込んだ。家の中を見渡し、これから始まる冒険に胸を躍らせながらも、少しの不安を感じた。

スーアの旅立ちを見送るために、村の人々が集まってきた。みんなが口々に「スーア先生、頑張ってね!」と声をかけ、彼女の背中を押してくれた。スーアは深呼吸をし、村の外れに続く道へと一歩を踏み出した。

「さあ、究極のカレーを求めて、旅に出るわ!」スーアは自分に言い聞かせるように呟き、その言葉が彼女の決意をさらに固くした。

最初に向かう場所はマージャン国。そこには特別なスパイスがあるという噂を聞いていた。マージャン国は辛いものが大好きな人々が住んでおり、その文化も独特で賑やかだと聞いていた。スーアはその国で何を見つけ、誰と出会うのかを考えると、期待と興奮が募った。

道中、スーアは美しい風景を眺めながら、旅の計画を練っていた。マージャン国で手に入れるスパイス、その次に訪れる場所、出会う人々…。彼女の頭の中は、未知の冒険に対する想像でいっぱいだった。

「まずはマージャン国。そこにはきっと素晴らしいスパイスがあるはず。」

スーアは道を急ぎながらも、途中で出会う人々とも挨拶を交わし、その土地の話を聞いた。ある老人は、「マージャン国には辛い料理がたくさんある。君のカレーにも役立つかもしれないよ」と教えてくれた。

「ありがとう、おじいさん。マージャン国ではどこに行けばいいですか?」

「まずは国王のいせとばに会いに行くといい。彼女はショートボブの女性で、鳥に変身する能力を持っている。彼女の助けを借りれば、きっと良いスパイスが手に入るはずだよ。」

スーアはその情報を胸に刻み、さらに足を速めた。マージャン国への道は険しかったが、彼女の心は揺るがなかった。途中で美しい花や珍しい動物たちに出会い、その都度立ち止まっては観察を楽しんだ。そんな中でも、彼女の頭の中には常に究極のカレーがあった。

数日後、スーアはようやくマージャン国の門前にたどり着いた。門は大きく、鮮やかな色彩で彩られていた。門をくぐると、そこには賑やかな街並みと、スパイスの香りが漂う市場が広がっていた。

「ここがマージャン国か…。すごい賑わいね。」

スーアは市場を見回しながら、国王のいせとばを探すことにした。市場の人々は皆、忙しそうに動き回りながらも、スーアに親しげな笑顔を向けてくれた。彼女は道を尋ね、国王の住む城へと向かった。

城にたどり着いたスーアは、守衛に用件を伝えた。

「私はスーア・ローズ。国王のいせとばさんに会いに来ました。」

守衛はスーアの言葉にうなずき、彼女を城の中へと案内した。広い廊下を進むと、やがて一室の扉の前にたどり着いた。

「こちらが国王のいせとば様の居室です。」

スーアは深呼吸をし、扉をノックした。

「どうぞ。」中から女性の声が聞こえ、スーアは扉を開けて中に入った。

そこには、ショートボブの髪を持つ美しい女性が立っていた。彼女がいせとばだった。

「こんにちは、スーア・ローズです。究極のカレーを作るために、あなたの助けが必要なんです。」

いせとばはスーアの言葉に興味を持ち、微笑んだ。

「スーア、君の情熱は素晴らしいわ。私も君を助けたい。でも、そのためには私も強くならなければならないの。私たち、一緒に頑張りましょう。」

こうして、スーアの冒険は本格的に始まった。彼女はマージャン国で新たな仲間と共に、究極のカレーの素材を求めて旅を続けることになった。

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