すーあくえすと♯3

第3章 - 金色の玉ねぎ


スーアはいせとばから別れ際に金色の玉ねぎの情報を得ていた。

「スーア、究極のカレーのレシピに金色の玉ねぎって書かれていたわよね。私心当たりがあって……この国のはずれに″遊び人の街″っていう所があるのだけれどそこの賭博場に光輝く賞品があると噂を聞いたことがあるわ。もしかしたら……!」

そしてスーアは次の目的地である″遊び人の街″へと向かった。遊び人の街は、ギャンブルに魅せられた者たちが集う場所で、昼夜を問わず賑やかな街並みが広がっている。

スーアは街の喧騒に包まれながら、情報を頼りに賭博場へと向かっていた。すると、街中で倒れている一人の女性を見つけた。彼女は幼女のような見た目だが、その目には深い知識と経験が垣間見えた。

「大丈夫ですか?」スーアはその女性を助け起こし、水を差し出した。

「ありがとう…ぼくはしう、君は?」

「私はスーア・ローズ。究極のカレーを作るために金色の玉ねぎを探しているの。」

「金色の玉ねぎか…。それなら、賭博場のVIPゲームに参加するしかないね。ぼくも一文無しで困っていたところだ。君を手伝うよ。助けてもらったお礼も兼ねてね!」


スーアとしうは協力し、賭博場へと足を運んだ。賭博場は豪華で、VIPエリアは特に煌びやかだった。そこに足を踏み入れると、スーアは一瞬緊張したが、しうが力強く背中を押してくれた。

「ここで勝てばきっとら金色の玉ねぎが手に入る。特別ルールがあるけど、君ならきっとやれるさ。」

「特別なルール……?」


その賭博場の一角に、不穏な雰囲気を漂わせる一団がいた。彼女たちは「トバシ隊」と呼ばれ、マージャン国の王であるいせとばを狙う謎の集団だった。リーダーのアスタル・テアは赤い九尾の尾を持つカリスマの存在であり、参謀のりげは白髪で白い猫耳をもつの冷静沈着な策士であった。

「ここで資金を貯めて戦いの準備致しましょう。テア。」
「ああ。この国を変えるために私たちはやるしかないんだよ…」

スーアはしうからゲームの内容を教えられた。VIPゲームの内容は麻雀だった。特別ルールとして、金色のドラが4枚加わっており、それぞれが5翻の価値を持つ。このドラをうまく使うことが勝利の鍵だ。

そして対戦相手はトバシ隊のアスタル・テアとりげ。彼女たちはスーアとしうにとって手強い敵だった。

ゲームが始まると、スーアは緊張と興奮が交錯する中、自分の手牌を見つめた。金色のドラを使うためには、冷静さと戦略が求められる。

スーアはゲームを進める中で、ついに金色のドラを手に入れ、それを活かす形を作り上げた。彼女は二萬子を切り、渾身のリーチを掛けた。しかし、その瞬間、対戦相手のりげが待っていたかのように「ロン!」と叫んだ。
「断幺九、平和、三色同順、金ドラ、ドラ2!」
「三倍満!24000点よ。」

「しまった…!」

ピンチに陥ったスーアだが、まだ諦めてはいなかった。オーラスに差し掛かり、この戦いで勝つには役満以上の手を上がる必要だったが、この特別ルールであれば、金ドラを複数枚絡めればまだ勝利出来る。

しうは金ドラを鳴かせようとスーアに合図した。

「スーア!鳴けるか!?」しうが叫ぶ。
「鳴けない…けど、まだ希望はある…!」
「それポンです!」
「ッ…!!」
「(´しωう`)…」

スーアの手には鳴ける牌がなく、逆にりげに鳴かれてしまう。

「(しうさん何してるのっ!?)でも…まだ諦めない!まだ希望はある…!」

スーアは手牌をよく見直し、清老頭まで3シャンテンであることに気付いた。これは一発逆転を狙える絶好のチャンスだった。

スーアは冷静に、しかし大胆に行動を開始した。テアとりげから連続でポンを決め、手牌を整えていく。その過程で、しうと目が合った。スーアは一瞬でしうに合図を送り、一索子を鳴かせるように目で合図した。
一索子を切った。
スーアはそれを鳴き、ついに清老頭までの形を完成させた。

「これで…!」

清老頭テンパイ。しかし山から牌は1枚、また1枚と減って行く。山には残り4枚スーア最後の自摸が訪れる。

「河の捨牌を見た感じだと、まだ山に残ってるはず…お願い自摸って…!」

しかし無情にも当たり牌は自摸れず。
「くっ…ここまでか……」スーアは負けを悟った。

(負けてしまう、ぼくは何も出来ていないじゃないか。)しうはその瞬間、かつて剣聖だった頃の鋭い直感がよぎった。
次順りげが自摸り牌を切る。その時だったーー
「チー!」
「!?」
「!?」
「!!!」
しうがりげの捨牌を鳴いた。
自摸順がズレる。本来ならしうが自摸し、テアが海底を自摸する順番だったが、この鳴きによりスーアに海底自摸が回ってきた。

「スーア最後まで諦めちゃダメだ!」
「しうさん!」

海底のラスト1枚。スーアは全ての集中力を込めてその牌を引いた。

「ツモ!清老頭!」

その瞬間、賭博場が静寂に包まれた。スーアの大逆転に、誰もが驚きの表情を浮かべた。



対局が終わると賭博場で働くそるちお姉さんとパライヤお姉さんから祝福された。
「さっきの戦い凄かったわ!おめでとう。これが賞品よ!」「マスターにも見せてあげたかったね。」

スーアは見事に勝利を収め、金色の玉ねぎを手に入れた。その玉ねぎは光り輝き、まるで宝石のよう。

「これで…究極のカレーに一歩近づいたわ。」

しうもまた、スーアの勝利を称え、微笑んだ。

「素晴らしいよ、スーア。君の情熱と努力には感服する。」

スーアはしうに感謝の言葉を述べ、金色の玉ねぎを大切に抱えながら、次なる冒険への準備を整えていた。そんな中しうは顔を赤くしてこう言った。

「スーア、君を見ていると昔戦場で戦っていた頃の事を思い出す…。きっと役に立つ。どうかこの旅にぼくも一緒について行っていいかな?」

「……!もちろん!!一緒に行こう!」


彼女の旅はまだ終わらない。究極のカレーへの道は続いていく。次にどんな試練が待ち受けているのか、スーアは期待を胸に、新たな一歩を踏み出した。

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