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平隊士の日々 文久四年(元治元年)弥生二十六

文久四年(元治元年)弥生二十六 


朝起きて、
局長、副長助勤、伍長、平隊士、四十人近い人数分の朝食作り。
一日分のご飯は、十二斗、一斗炊きの釜四つで、三回、
置きかまども使わないと炊ききれない。
米を炊くだけでも大変だ。
漬物はそこいらで買ってくるか、味噌蔵にある瓶から出す。
もたもたしているとすぐに食事の時間になる。
朝は忙しい。

食事が終わり、本日の隊務割は、東巡察、午後は当直。
今日は死番ではないので気が楽だ。
隊務割の後に、七番隊組長の谷さんから声をかけられた。
昨日の食事が美味しいかったらしい。
今日の賄は七番隊
「何か簡単で美味しい料理は無いか?」と、
今の時期、桃山の棒みょうがと大根、万願寺唐辛子、京せりなどかな。
「せりとみょうがの鍋とか、大根と水菜の鍋などが簡単ですよ。」
「そうか、ありがとう、しゃもを加えた鍋にするか。」
また、しゃもと思ったが、ごまかした。

本日の東巡察は八番隊藤堂組長と一緒だ。
四条から堀川通を通り七条へ鴨川に向かい川沿いの路地を北上、
木屋町通りを通り、平安神宮へ行き南下して高台寺へ、
そして、屯所に戻る。
やっぱり、散歩のようで少し楽しい。

昼食、
昼からしゃもの味噌漬けを焼いたものと漬物だった。
当直と言うことで、屯所で待機。
組長が稽古するぞと声をかけてきた。
道場に行くと、土方副長が浪士役をしていて、
藤堂組長や井上組長が容赦なく打ち込んでいるが、
巧くよけられ、脛などを撃たれそうになり、
「まだまだ!、来い!」掛け声が響いている。
組長たちが一通り終わり、平隊士に向かって、掛かってこいと、
さすがに、副長、次から次の死番の飛び込みもいなして
息も切らせずに、「まだまだ!次!」
昼間の当直も大変だ。

夕食、
せりとみょうがの鍋に、肉が入っている。
谷組長に聞いたら牡丹とのこと、山鯨ならなんとか食べれる。
暇なので、勘定方のところに行き、本を借りる。
なんか難しそうな、藤田東湖とかいう人の回天詩史と言う本だ。
読んでいる内に眠くなり寝る。

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