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平隊士の日々 元治元年卯月二十一

元治元年卯月二十一  


目が覚めて、掃除して、稽古に行く。
井上組長は相変わらず、苦しそうだ。
山南総長と土方副長と稽古、
今日は僕が死番なので、稽古を一生懸命おこない、
怪我の無いようにしたい。

朝食、アサリの佃煮、味噌汁、たたみイワシ、漬物、ご飯。

本日の隊務割、
午前が南巡察、午後が東巡察、夜が当直。

今日も、組長が腹痛で休み、山南総長と巡察。
札ノ辻通りで浪士を見かけ、
伏見稲荷まで追いかけたが、逃げられてしまった。
帰りに、番小屋で揚げ餅を山南総長が買う。
きっと、井上組長のお土産なのだろう。

昼食、鰯のみりん干し、昆布巻き、味噌汁、漬物、お茶漬け。
山南総長に、
「組長はどうですか。」と聞くと、
「まだ、ご飯も食べれないので、
餅を茶漬けにすれば食えると思ったのだが、まだ、無理だった。」
「そうですか、もっと食べやすいものが良いですね。」
「そうだな、帰り道で何か買うか。じゃあ、行くか。」と山南総長を先頭に
一番隊と巡察に出かける。

木屋町通りの先斗町あたりで、
大柄な浪士と浪士の一団がこちらに歩いてくる。
総長が、
「あれ?千葉道場の坂本くんではありませんか?」
「そうじゃき、なんかようか。」
「いえ、千葉道場で学んでいた山南と申す者です。」
「そういえば、見たことがあるきに、
確か・・・小野派一刀流の免許皆伝とか、
北辰一刀流は目録じゃったか。」
「はい、今は縁あって新選組の総長をしています。」
「ふーん、わしは、幕臣、勝海舟殿の世話になっちゅう。
神戸に海軍操練所を開く手伝いをしており、
この横井佐平太らを、そこへ連れていく途中じゃ。」
「それはご苦労なことで、道中、ご無事で。」
山南総長が頭を下げて見送る。
沖田組長が、
「山南さん、どなたですか?」
「江戸の北辰一刀流千葉道場の塾頭、坂本龍馬殿で、ああ見えても剣は立つぞ、
総司はあったことは無かったか。」
「いえ、江戸で一度、土方さんが喧嘩になりそうになったことがあります。」
「ははは、歳さんらしいな。」
山南総長と沖田組長が江戸の話をしながら帰る。
途中で振り売りから、豆腐を買い、
湯豆腐なら、食えるかなと言っていた。

夕食、しゃもと溶き卵が入った雑炊、梅干し、沢庵。

当直、山南総長に
「組長はどうですか」と聞くと、
「何とか湯豆腐は食えた、二三日で良くなるだろう。」
総長と稽古しながら、当直。
監察方が戻ってきたので当直終了。
軽く酒を飲み、寝る。


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